1999 Fiscal Year Annual Research Report
受容体介在性エンドサイトーシスを利用した活性酸素分解酵素のダブルターゲティング
Project/Area Number |
11877410
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
橋田 充 京都大学, 大学院・薬学研究科, 教授 (20135594)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 富義 京都大学, 大学院・薬学研究科, 助教授 (30243041)
|
Keywords | 活性酸素 / カタラーゼ / SOD / 化学修飾 / 虚血再灌流障害 / 受容体介在性エンドサイトーシス / 肝臓 / ダブルターゲティング |
Research Abstract |
近年、虚血性疾患、炎症等の数多くの疾患に活性酸素種が関与することが明らかにされつつあるが、その発生ならびに障害の機序に関しては未だ不明な点が多い。こうした活性酸素障害に対する治療にはSuperoxide Dismutase(SOD)あるいはCatalase(CAT)などの活性酸素種を効率よく分解する酵素の利用が有望視されている。申請者のグループではこれまでにSODを取り上げ、種々の化学修飾法を利用することによりSODの体内動態を細胞レベルで精密に制御可能であることを明らかにしてきた。SODの作用により生成する過酸化水素を分解するCATとのダブルターゲティングにより活性酸素障害がより効果的に抑制可能であると推察されるが、標的とすべき細胞ならびにその細胞へのターゲティングに適した受容体に関する情報は得られていない。そこで本研究では、マウスにおける肝虚血・再灌流障害を対象にSODならびにCATを受容体介在性エンドサイトーシスの機構により肝臓の実質細胞、血管内皮細胞あるいはKupffer細胞に選択的に送達することによる障害抑制効果を検討した。ウシ肝臓由来のCATを用い、それぞれ、アシアロ糖タンパク質受容体を介して肝細胞に、マンノース受容体を介して肝非実質細胞に取り込まれる、ガラクトース修飾体およびマンノース修飾体を合成した。また、スカベンジャー受容体あるいは細胞表面をターゲットとした誘導体、さらにはポリエチレングリコールで修飾することにより細胞外濃度を維持するタイプの誘導体も併せて合成した。その結果、肝非実質細胞ターゲティング型CAT誘導体が優れた効果を示すことが明らかとなった。さらには、SOD誘導体との併用によりさらなる効果改善か得られた。以上の結果より、これら活性酸素分解酵素誘導体の最適な組み合わせ投与により虚血・再灌流障害に対するダブルターゲティング療法の可能性が示された。
|
-
[Publications] Yoshiyuki Yabe: "Hepatocyte-specific distribution of catalase and its inhibitory effect on hepatic ischemia/reperfusion injury in mice"Free Radical Research. 30. 265-274 (1999)
-
[Publications] Yoshiyuki Yabe: "Targeted delivery and improved therapeutic potential of catalase by chemical modification : combination with superoxide dismutase derivatives"Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics. 289(2). 1167-1184 (1999)
-
[Publications] Pieter J.Swart: "Targeting og superoxide dismutase to the liver results in anti-inflammatory effects in rats with fibrotic livers"Journal of Hepatology. 31. 1034-1043 (1999)