Research Abstract |
瞬目を行動の一つして捉える立場で研究が進められ,さまざまな心理活動に対応する変化が明らかになってきている。指標としての具体的な利用としては,教育活動の中での子供達の興味の度合いや理解の程度などの他覚的指標として検討されはじめている。その線上で瞬目がケアの中での患者の微妙な心理的変化を表することが明確になれば,看護活動の中でも客観的かつ手軽に使用できる指標としてその有効性が期待できる。 そこで,本研究の目的は,(1)患者の瞬目の変化を心理的な変化を表す他覚的指標として看護場面に利用できないかを検討すること,(2)瞬目行動の男女差の発生する原因を,性ホルモン分泌量,ドパミン分泌量,瞬目の関連性から検討することである。 (1)対しては,学生を被験者にして,足浴場面,背部清拭・背部マッサージ場面を想定し,実験を行った。測定内容は,ケア実施中の被験者の表情をビデオカメラで記録し,表情の変化,瞬目数の計測と生理指標として心拍数の変化,血圧の変化,心理指標として気分の変化をGACLという調査用紙を用いて測定した。結果は,現在分析中である。 (2)については,当初の計画では,男子1ケ月間,女子2ケ月間の実験を予定していたが,実施期間を延長し,男子2ケ月間,女子6ケ月間と修正し,現在実験中である。測定内容は,男子被験者では,基礎体温,瞬目数,血中アドレナリン・ノルアドレナリン・ドパミン,心理指標としてGACLを用いて気分を測定している。女子被験者では,男子同様の測定内容に加えて,血中エストラジオール・プロゲステロン・プロラクチンを測定している。一部分析を始めているが,瞬目数の変化が周期性をもつ可能性があり,記録した画像から時系列分析を行うことを計画している。 現在結果の分析の途中であり,平成12年度には分析を終了し,成果を発表する予定である。
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