2000 Fiscal Year Annual Research Report
自閉症児の言語発達とコミュニケーション-音声分析法による言語・感情の変化-
Project/Area Number |
11877424
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Research Institution | 福井医科大学 |
Principal Investigator |
竹田 千佐子 福井医科大学, 医学部, 助教授 (10148273)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
熊谷 高幸 福井大学, 教育地域科学部, 助教授 (10115298)
長谷川 智子 福井医科大学, 医学部, 助手 (60303369)
月田 佳寿美 福井医科大学, 医学部, 助手 (50303368)
浅本 憲 福井医科大学, 医学部, 助教授 (80184159)
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Keywords | 自閉症児 / 言語障害 / 音声 / 構音障害 / 周波数 / 発音 / 単語発声の変化率 |
Research Abstract |
昨年に引き続き、自閉症児おける中心的な異常である言語障害について、6名の自閉症児(昨年度は8名)と対照群として健常児6名(昨年度10名)を対象に音響的検討を行った。 研究手順としては、2〜6モーラの絵カード16枚を見せ、自発的に発声してもらった声を、マイクロホンを通してテープレコーダーに録音したものを音声サンプルとし、(1)基本周波数,(2)単語長,(3)各音毎の母音部周波数,(4)各音母音部における最高周波数と最低周波数の差で示した抑揚に加え、本年度は変化率(各音毎の周波数と基本周波数の差を絶対値に直し、それぞれを足し、単語長で除した値を変化率とした)も検討した。 なお、自閉症児群と健常児群との比較は、Mann WhitneyのU検定を行い(統計ソフトSPSS Ver10.OJ)、有意水準5%以下とした。その結果、健常児群に比べ自閉症児群の方が「基本周波数の平均」「単語発声における変化率」の値が高い結果となった。これは、自閉症児が声の高さを調節する声帯運動や、呼気を声の音源に変換する働きを持つ発声発語器管の協調運動を苦手としていることに起因していると考えられる。 これまでの先行研究では、協調運動を行う働きを持つ小脳や、聞いたり読んだりした言葉の理解を可能にする大脳半球で、自閉症に異常があることが報告されていることからも、発声において何らかの運動障害または、発達障害が影響していることが再認識された。
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