1999 Fiscal Year Annual Research Report
精神科薬物療法におけるインフォームド・コンセントと看護者の役割に関する研究
Project/Area Number |
11877438
|
Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
小林 信 北里大学, 看護学部, 講師 (10255367)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴田 真紀 北里大学, 看護学部, 助手 (10286370)
池田 明子 北里大学, 看護学部, 教授 (90090399)
小口 徹 北里大学, 看護学部, 教授 (40050413)
|
Keywords | 精神科看護 / 薬物療法 / インフォームド・コンセント |
Research Abstract |
北里大学病院精神神経科病棟に入院中の患者(精神分裂病と診断された患者で、退院が決定しているかあるいは退院の近い患者)11名にインタビューを実施し、過去の服薬開始から現在、および予測される退院後の生活において、服薬にまつわる状況やその時の感情、医療者の関わりなどを分析した。その結果、元来薬を服用することにためらいや抵抗感があると答えた患者でも、初めて向精神薬を処方されたとき、症状による判断力の低下や「この苦しさが少しでもやわらぐのであれば」という期待、周囲の強いすすめなどの理由から、薬を飲んでいた。しかし、薬の効果を体感し、薬物療法は自分にとって助けとなりうると感じたことのある患者の中にも、服薬を中断し症状の再燃や再入院に至ったケースもあり、必ずしも体験的な学習だけでは服薬継続の動機付けとして十分ではないことが示唆された。また、全11名が今後も薬を継続して服用すると答えているが、その理由には、「信頼している医師の出した薬だから」という医療者との関係性維持の条件として、あるいは「飲まないと逆に気持ち悪くなる」という不安から、「飲めといわれているから」などが多く、疾患と薬理に基づく根拠や主体的な意味付け、薬物療法への能動的な姿勢など、十分な説明や情報提供とそれに対して患者自身が意思決定を行い必要性を認識するというインフォームド・コンセントの過程は見つけることができなかった。 実際には、処方された薬を与薬したり、効果や副作用の発現を観察する、訴えを聞くなど、入院環境で看護者が患者の服薬に関わることはかなり多いにも関わらず、服薬に関する状況で患者が看護者について語ることはほとんどなく、薬物療法に関する看護者の存在や役割は、患者にとってほとんど意識されていない現状が明らかになった。次年度は、これらの結果をふまえて看護者側の薬物療法における役割意識を調査分析する予定である。
|