2000 Fiscal Year Annual Research Report
精神科薬物療法におけるインフォームド・コンセントと看護者の役割に関する研究
Project/Area Number |
11877438
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
小林 信 北里大学, 看護学部, 助教授 (10255367)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴田 真紀 北里大学, 看護学部, 助手 (10286370)
池田 明子 北里大学, 看護学部, 教授 (90090399)
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Keywords | 精神科薬物療法 / インフォームド・コンセント |
Research Abstract |
北里大学東病院精神神経科疾患治療センターの2つの病棟(閉鎖・開放)に勤務する10名の看護者に、精神科における薬物療法の位置づけ、患者にとっての意味付け、薬物療法に関するケアを行う時の困難、薬物療法における看護者の役割意識、今後の期待などについてのインタビューを行った。精神科勤務年数3年未満(新人は除く)3名、3〜5年3名、5年以上(主任の役割をとる者)4名にインタビューを行った結果、いずれも薬物療法は精神科治療において主要な療法であると認識されていた。しかし、患者は必ずしも主体的にその療法に参加していないと看護者側は実感しており、ケアを行う際には「患者に薬のことを聞かれたとき」に自分の知識不足や返答の仕方に困難を感じることが多く、経験年数が上がるにつれ、医師主導の現行のシステム、インフォームドコンセントに問題を感じている傾向があった。役割については「確実に服薬させること」、「作用・副作用の観察」といった従来の診療補助的な内容も語られたが、「日常生活における服薬行動の確立」では、数名の看護者はもっとも身近にいて接する時間の長い看護者が、患者が入院中だけではなく退院後や社会において予測される問題や障害を把握し、能動的に服薬できるように援助することが看護者の専門性だと感じていることが語られた。今後の期待では、患者同士によるグループディスカッションや家族への心理教育、看護者自身の現任教育の必要性などが語られた。また、それらを実現するためには薬物療法のみならず精神科医療全般におけるインフォームドコンセントの推進が重要な要素であることが示唆された。次年度は、これらの得られた結果から同センターで実施可能なプログラムを考案し、トライアルとして実施し評価していく予定である。
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