1999 Fiscal Year Annual Research Report
大学と産業界の研究連携システムと技術移転に関する実証的研究
Project/Area Number |
11878001
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
菊本 虔 筑波大学, 基礎医学系, 教授 (50284229)
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Keywords | 産学連携 / 大学教員と特許出願 / 共同研究費 / 受託研究費 / 教員の業績評価 |
Research Abstract |
本研究は平成11年度〜12年度の2ヵ年にわたる研究である。本年度は、国公私立大学における産学連携の現状と課題に関する調査を中心として研究を進めた。すなわち、全国の国公私立大学のうち、自然科学系の学部・研究科を持つ大学276大学・2,500人の教員を対象としてアンケート調査を実施し、1,576人の教員から回答を得た。(回答率:63%)その結果、1)産学連携の成果については特許の出願手続きが行われなかったとする者が過半であり、その出願手続きは、発明者自身が行ったというのは僅かで、最も多かった回答は企業が出願したであったこと、企業が出願した理由は、特許出願に費用がかかるからと特許出願は面倒だからが多く、次いで奨学寄附金を受けたからであること、3)大学教員からみた中小企業との連携の障害となる要因については、相手になる中小企業をみつけることが困難であるが第1で、以下、時間がない、連携の方法がわからない、事務手続きが面倒、学内で評価されない、制度上の問題点、研究費への圧迫などと続いていること、4)大学教員で産学連携に関連する制度で困っている事例としては、共同研究費や受託研究費などの使途に厳しい制約があり、年度を超えて使用できないこと、次いで、受入れのための事務手続きが煩雑で負担になること、これらの研究費で若手研究者を雇用できないこと、5)大学教員側からみた促進方策としては、教員の業績評価に社会貢献や産学連携を取り入れること、次いで、共同研究費等の使途制限の撤廃や次年度以降の使用承認、事務手続きの簡略化、学生への給与の支給や若手研究者の雇用、研究スペースの拡大であったこと、などがわかった。これらの調査結果については報告書を刊行している。なお、来年度は産学連携の促進方策の研究を進める。
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[Publications] 菊本虔、玉田俊平太: "日本の文化風土に適した産学連携手法とはどういうものか"TARA NEWS. 13. 13-20 (2000)
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[Publications] 菊本虔、玉田俊平太 他: "産学連携推進の現状と課題"松尾研究会報. 8. 1-83 (2000)
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[Publications] 菊本虔: "大学における特許の意義"TARA NEWS. 10. 23-23 (1999)