2000 Fiscal Year Annual Research Report
細胞のストレス防御機能を増強することで全身持久力を高めることは可能か
Project/Area Number |
11878009
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
内藤 久士 順天堂大学, スポーツ健康科学部, 講師 (70188861)
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Keywords | ヒートショック蛋白質 / 持久的運動 / 骨格筋 / タイムコース / HSP72 / 高体温 |
Research Abstract |
熱ストレスによるラット筋組織のヒートショックタンパク質(HSP72)の誘導が,高温下での持久的運動のパフオーマンスに及ぼす影響を検討した。 3カ月齢の雌SD系ラットが,小動物用トレッドミル上での走行を学習するため,分速15-22mで1日10分,週3回,2週間にわたってトレッドミル走行の練習を行った。走行学習期間終了48時間後,ラットは体重が等しくなるようにコントロール群およびヒートショック群の2群に分けられ,ヒートショック群は室温41℃の高温環境下に60分間曝露(ヒートショック)され,その後通常の飼育室(室温23℃)へと戻された。ヒートショックの24時間後,高温下での持久的運動のパフオーマンスを評価するために,両群とも室温30℃で毎分22mのトレッドミル上を走行不能(オールアウト)になるまで走行し,その運動時間が測定された。 オールアウトテスト直前(ヒートショック24時間後)での下肢骨格筋(ヒラメ筋,足底筋)および心臓のHSP72レベルは,ヒートショックによっていずれも高められた。また,オールアウトに至るまでの運動時間はヒートショックによって延長(コントロール群34±11分、ヒートショック群45±13分)したが,その差は有意には至らなかった(p=0.06)。 ヒートショックを用いた筋組織のHSP誘導によって,高温下での全身持久的運動のパフオーマンスを高められる可能性があることが示唆された。今後,局所的なHSP誘導と持久的運動のパフォーマンスとの関連を明らかにしていく必要であると思われる。
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