Research Abstract |
1).方法論的には,解像度4000dpiのスキャナーでそれぞれデジタル化した,実体視が可能な一組の偵察衛星写真CORONAのポジフィルム(以下,CORONA)画像を,パソコンのモニター上で並べて実体視判読する方法を考案した.さらに,その判読精度を向上させるため,16倍2台レンズによる,ポジフィルムの実体視判読を併用した.後者は,単写真の場合と異なり,CORONAが有する情報を最も多く引き出せること,また,モニター上でのデジタル画像の実体視は,CORONAの直接実体視に比べて情報が減少するものの,単写真のデジタル画像プリントほぼ引き出せることが判明した.(相馬・小方) 2).相馬は,中国トルファン盆地では,15世紀以降に中心となったトルファンオアシス(老城域)は,それ以前に繁栄していた高昌故城・交河故城・柳中故城などがいずれも河川沿いに立地していたのに対して,幅広い段丘面に立地して付近に明瞭な氾濫原をもつ流路が認められないこと,それに対して,カレーズの分布密度が盆地内で最も高いところの一つであることなどを明らかにした.そして,それらの成果の一部を,2000年5月の日本沙漠学会(松田等と連名),同年11月の日本リモートセンシング学会(招待講演)発表した. 3).小方は,昨年に引き続き,中央アジアから西アジアにかけてのシルクロード沿いの都市遺跡などを主な対象としてCORONAで判読するとともに,それらの成果などを基にした,CORONAポジフィルムからのデジタル画像データーべースを作成中である. 4).松田は,エジプトや中国中原の古代遺跡に関する情報を収集するとともに,トルファン盆地に分布する石器時代(主に新石器)遺跡の立地環境について,CORONAのデジタル画像などから検討し,その成果を2001年2月のシルクロード学研究会(主催:シルクロード学研究センターなど)にて発表した.
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