1999 Fiscal Year Annual Research Report
高温高圧水によるポリエステルの減量加工に関する研究
Project/Area Number |
11878013
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
勢田 二郎 山梨大学, 教育人間科学部, 教授 (20206642)
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Keywords | アルカリ減量 / ポリエステル / 高温高圧水 / 活性化体積 |
Research Abstract |
高温高圧水によるポリエステルの減量加工に関する基礎的知見を得るために、先ず、ポリエステルの加水分解生成物であるテレフタル酸の液体クロマトグラフによる定量を試みた。試薬から調整したテレフタル酸Na塩水溶液とアルカリ常圧加水分解(60℃、NaOH 10%)残浴の液体クロマトグラフ分析結果を比較した。鋭い単一の吸収ピークだけが観察され、流出時間60分までにおいて他のピークは見られなかった。高温高圧水(200℃、NaOH 0%)による加水分解結果も同じ結果を示した。次に、アルカリ常圧加水分解残浴から高速液体クロマトグラフ装置を用いた残浴法と重量法を比較した。減量率の定量法として残浴法は、重量法に比較して、低い値を示した。 水のイオン積が高温高圧下では大きくなるので、高温高圧水を用いれば、添加物を用いない減量加工の可能性が考えられる。そこで、190および180℃において水だけによる処理を100MPa、3hの条件下に行った。減量率は、それぞれ10%および2%の値が得られたが、布の強度が極端に低下し、180℃においても曲げれば折れる状態であった。高温高圧において加水分解が糸の表面だけでなく、内部まで進み、糸強度が低下するものと考えた。減量加工が表面だけでなされねばならないことを考慮すれば、高温高圧水の利用は安易には難しいことがわかる。プラスチックのリサイクルに応用が期待されている超臨界水の利用も、繊維の減量加工にはそのままでは応用できず、布と高温高圧水の短時間だけの接触方法などを工夫する必要がある。 加水分解機構を考察するために、常圧アルカリ下において圧力の効果を検討した。すなわち、圧力の増加とともに速度定数は単調に増加し、 60℃における反応の活性化体積の値としてΔV^キ=-36cm^3/molを得た。ΔV^キが負であることは、遷移状態が原状態より収縮していることを示し、圧力が減量加工に正の効果を持つことがわかった。
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Research Products
(1 results)