1999 Fiscal Year Annual Research Report
科学技術リテラシーを論議するための新しい枠組を提案できるか -「専門家」対「非専門家」という二分法からの脱却を目指して-
Project/Area Number |
11878024
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
小川 正賢 茨城大学, 教育学部, 助教授 (80143139)
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Keywords | 科学技術リテラシー / 専門家 / 非専門家 / 人材育成 / 理工系人材 |
Research Abstract |
「科学技術リテラシーはどのように定義すればいいか」とか「近未来社会に生きる人々にとって必要となる科学技術リテラシーとはどのようなものだろうか」といった問題を、もっと生産的に議論するために、従来、暗黙裡に存在した(「科学技術専門家」対「科学技術非専門家」)という二分法的枠組を超えた新しい枠組を提起することと、その枠組が科学技術リテラシー論議に実際にどのような貢献をする可能性があるのかを探究するのが本研究の目的である。そのために、初年度である本年度は、国内外の「科学技術リテラシー」論に関する文献資料を主としてインターネット等を利用して収集・分析し、問題点を整理した。この中で、欧米の理工系大学院の中にscience masterと総称される新しいタイプの修士課程が近年設立されてきていることが明らかになった。そこでは、理工系学問や知識をベースにしながら、さらに、経営学、倫理学、法律学といった人文・社会系の学問や知識を付与して、社会のニーズに対応した新しい人材の育成が目指されている。このような人材は、本研究の視点iこ合致する人材の事例と考えられる。また、科学技術の専門的情報をブレイクダウンして、より低次の情報に編集加工し、これを伝達できる「科学技術情報翻訳専門家」「科学技術情報発信専門家」を科学技術専門家と科学技術非専門家といった区分の間に介在させるといった可能性についても考察した。さらに、具体的な事例検討として、科学系博物館、科学館における展示解説員の職務に着目し、高度な科学技術情報がどのように編集加工されて一般の人々の前に提示されているのか、また、そのような職務を果たすために、どのような専門的資質が求められ、また、育成されているのか、といった問題について基礎的な情報収集と行った。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Masakata Ogawa: "Alternative Aspect of Considering the Issues of School Science Contents and Science and Fechnology Literacy for Citizens"Proceedings of the 9th Symposium of IOSTE. Vol.2. 467-468 (1999)
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[Publications] 小川 正賢: "科学技術人材育成・配置論から見た現代日本社会とその科学技術教育"日本科学教育学会第23回年会論文集. Vol.23. 111-114 (1999)
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[Publications] 小川 正賢: "理科離れ・知離れの背後に何があるのか"理科の教育. Vol.48,No.12. 4-6 (1999)