Research Abstract |
川端康成のノーベル賞受賞作品『雪国』に対する三島由紀夫の晩年の批判を検証するという動機付けがあったので,同作品と他の複数作品との比較を行った。 昨年度,計量分析に必要な『雪国』を初めとする『伊豆の踊り子』,『虹』,『母の初恋』,『女の夢』,『ほくろの手紙』,『夜のさいころ』,『燕の童女』,『夫唱婦和』,『子供一人』,『ゆく人』,『年の暮』,『山の音』,『みづうみ』の全文データベースを作成したので,今年度は入力した文章を単語に分割し,品詞情報を付加したデータベースを作成し,これらを用いて計量分析を試みた。 単語分割では,できるだけ詳細な情報を得るため,学校文法で品詞として立てない形態素の接頭詞と接尾語,ならびに補助動詞等を加え,次の17種類1.普通名詞,2.固有名詞,3.形式名詞,4.代名詞,5.連体詞,6.数詞,7.副詞,8.接続詞,9.感動詞,10.動詞,11.形容詞,12.形容動詞,13.助詞,14.助動詞,15.接頭語,16.接尾語,17.補助動詞に分割した。名詞も普通名詞と固有名詞,形式名詞とに細分割した。 当然のことながら,句読点を含む諸記号をも対象化している。 読点の付け方に関する数量分析では,戦前と戦後の作品では,読点の付け方が多少異なることが判明した。 しかし,現状では,一部の情報にとどまっているので,未だ明確な結論を出すに至っていない。
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