1999 Fiscal Year Annual Research Report
半導体放射線検出器・シンチレータの極低温動作に関する基礎的研究
Project/Area Number |
11878084
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高橋 浩之 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (70216753)
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Keywords | 極低温 / 半導体 / SQUID / CsI / CdTe / CdZnTe |
Research Abstract |
現在代表的な放射線検出器である半導体検出器、シンチレータの大半は常温、または液体窒素温度にて動作させているが、これは取り扱いやすさやコスト等の問題が大きく関係しており、本来計測器としてみた場合にその最良の動作点で動作しているとは言い難い。冷却により熱雑音が低減する上に、半導体ではキャリアの移動度が低温になるほど大きくなるし、アルカリハライドシンチレータ等では不純物の発光中心が無くとも発光を示し、発光量も常温に比べて数倍になり発光の時定数も大幅に短くなるなど、大きな特性の変化が見られる。本研究では、最近普及しつつある寒剤が不要で液体He温度近辺までの温度が容易に得られる冷却システムを利用し、放射線検出器の最適動作温度について今一度見直しを図り、極低温領域での動作について理解し、基礎特性を十分に求めて再検討することを目的に研究を行った。今年度は、4.2Kまで極低温の得られる冷却系を導入し、極低温において動作するローノイズ・低インピーダンスのDC-SQUID増幅器を動作させ、その特性の測定までを行った。その結果、増幅器の等価雑音出力は約6.2pA/√Hzが得られた。また、CdTe等の化合物半導体は従来、常温動作の点が強調され、移動度の点にはあまり関心が集まらなかったが、極低温まで冷却をすると、簡便性は失われるものの、比抵抗が十分高くなることはもちろん電子・正孔の移動度も極めて高くなり、電荷捕獲の問題が解決され、原子番号が大きく高エネルギーγ線に対して検出効率の高いアレイ型検出器としての利点を存分に発揮できると考えられる。この場合更にタイミング特性の改善から高計数率動作等、高速性まで追加されることとなる。そこで、本年度は40mm x 5mm x 2mmの大きさの32ピクセルからなる1次元アレイ型CdTe検出器を試作した。今後、この素子について極低温での諸特性を調べていく予定である。
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