2000 Fiscal Year Annual Research Report
山缶(八方尾根)を利用した降水による大気汚染物質の除去率(洗浄係数)の測定
Project/Area Number |
11878089
|
Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
村野 健太郎 国立環境研究所, 地球環境研究グループ, 主任研究官 (40109905)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鹿角 孝男 長野県衛生公害研究所, 大気部, 主任研究員
|
Keywords | 洗浄比 / 洗浄係数 / 八方尾根 / 大気汚染物質 / エアロゾル / 硫酸塩 / 硝酸塩 / SO_4ガス |
Research Abstract |
H11年度に引き続き、中部山岳地域の八方尾根と麓の白馬村の平地の2カ所で、降水とガス、エアロゾルを同時に採取し、ウオッシュアウトによる大気から降水への物質の取り込み過程を調査した。八方尾根の観測地点は標高1850m、また、麓の観測地点は標高830mにあり、両者の標高差は1020m、水平距離は2.0kmである。降水は湿性降下物を1降雨毎に採取した。ガス、エアロゾルの採取は10ライングローバルサンプラーを用い、4段ろ紙法により6時間間隔で行った。観測は2000年6月、7月、9月に行った。その結果、6月と7月の観測から硫酸イオン(SO_4^<2->)について4個の洗浄係数(Wc:s^<-1>)と洗浄比(Wr)が得られた。また、11年度データの見直しを行い、12年度のデータと合わせて解析を行った。その結果、Wcと降水強度(P:mm/h)との間にWc=1.86×10^<-5>P^<1.70>の関係式が得られた。Wrは98〜728の範囲に分布していた。9月には三宅島火山ガスの影響でSO_2濃度がしばしば高い値を示し、Wcが噴火前と異なる値を示したため以前のデータとは別に扱った。9月のエアロゾルデータの解析から、高濃度の硫酸ミスト(H_2SO_4)が八方尾根周辺に輸送されていたことがわかり、その濃度は、八方尾根、白馬村でそれぞれ11.3〜21.3、6.8〜18.3μg/m^3の範囲内にあると推定され、SO_4^<2->に占めるH_2SO_4の割合は35〜65、22〜58%と、濃度、割合とも高い値であった。これらの結果は大気環境学会誌(速報)に投稿した。
|