2000 Fiscal Year Annual Research Report
EDCの分離・除去を指向した凝集性ミセル形成能を有する糖質系界面活性剤の開発
Project/Area Number |
11878097
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
坂入 信夫 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 教授 (60153863)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西 則雄 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 教授 (70001857)
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Keywords | ミセル / 糖脂質 / チオグリコシド / ラウリル / 糖転移反応 / レクチン / EDC |
Research Abstract |
本研究は,内分泌攪乱物質(EDC)として指摘されている化合物の多くが疎水性の高い有機物であることに着目して,長鎖アルキル基を有する糖質系界面活性剤(アルキルグリコシド)を用いる除去システム構築のための効率的な材料合成法の開発およびその基本的な性質を調べることを目的に行われた.糖質系界面活性剤は他の界面活性剤に比較して生分解性が高いうえ,コンパクトで非イオン性の親水性基を有するのが特徴である.その結果,ミセル形成能が高く,ミセル内部に疎水性物質を強固に取り込むことが期待されている.さらに,アルキルグリコシドのミセルを糖結合性のタンパク質"レクチン"を用いて凝集化させるために糖鎖部分の適切な修飾法の検討も行った. まず,種々の単糖類およびオリゴ類のアセチル誘導体をルイス酸存在下に長鎖アルキル基を有するチオールと反応させたのち,脱アセチル化して両親媒性を持ったチオグリコシドを合成した.特に,二糖マルトースより調製したチオグリコシドは水溶性が高く,9.32×10^<-5>Mの限界ミセル濃度(CMC)を有することが判明した.さらに,この物質を基質として糖加水分解酵素の逆反応を用いて糖鎖伸長の検討もおこなった.すなわち,含水メタノール中ラウリルチオマルトシドとラクトースをβ-ガラクトシダーゼ存在下反応させると,非還元末端の4位にガラクトース残基が導入された新規三糖が高収率で得られることがわかった.この物質はガラクトース認識レクチンとの結合性を示し,糖質系界面活性剤によるミセル形成→EDCの取り込み→ミセルの凝集化という新しい環境汚染物質除去システム構築のモデルが提案できる.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] J.Furukawa 他: "Total synthesis of calonyetin A2, a macrolidic glycolipid with plant growth-promoting activity"Tetrahedron Lett.,. 41. 3453-3457 (2000)
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[Publications] H.Matsui 他: "Laryl and Stearyl Thioglycosides : Preparation and Reactivity of the glycosyl donor"Chemistry Lett.,. 326-327 (2000)