1999 Fiscal Year Annual Research Report
天然有機抗酸化物質のFABMSスペクトルを用いた探索法に関する研究
Project/Area Number |
11878110
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
羽野 芳生 東邦大学, 薬学部, 助教授 (00156382)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒田 潤 東邦大学, 薬学部, 助手 (70287548)
野村 太郎 東邦大学, 薬学部, 教授 (90057505)
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Keywords | FAB-MSスペクトル / 抗酸化剤 / 疑似分子イオン / 分子イオン / マトリックス / αートコフェロール / フラボノイド / アンモニアチオシアネート法 |
Research Abstract |
FAB-MSスペクトルは難揮発性化合物の分子質量の決定に有効な機器分析法であり,検体をマトリックスと呼ばれる粘稠性の液体に溶かし,アルゴンなどの中性粒子を高速で衝突させて飛び出してくるイオンを補足する。通常の有機化合物はマトリックス由来のプロトンが付加してプロトン化分子となり,それが疑似分子イオンとして観測される。マトリックスからのプロトンの放出は酸化過程と考えられることから,抗酸化能を有する検体の場合,一電子酸化によりその過程を阻害すると同時に自らはカチオンラジカルになり,結果として中性の分子イオンピークの出現が期待される。実際,抗抗酸化剤のαートコフェロールを検体として用いた場合,観測されたイオンはプロトン化分子ではなく顕著な強度を持つ分子イオンであった。また,天然有機化合物として抗酸化能が報告されているエピガロカテキン誘導体,クルクミン誘導体等いずれも顕著な分子イオンをスペクトル中に与えた。また,種々のフラボノイド誘導体について検討した結果,疑似分子イオンを比較的強く与えるもの,分子イオンを強く与えるもの,あるいは両イオンの強度が同等のもの,の3種のパターンに分類された。そこで,アンモニアチオシアネート法によってこれら各種フラボノイド誘導体の抗酸化能を定性的に比較したところ,分子イオンピークを比較的強く与える群では抗酸化能が高く,逆に疑似分子イオンを強く与える群は抗酸化能は低いことが示された。このことから,FAB-MSによって化合物の抗酸化能の有無の予測が可能であることが示唆された。
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