1999 Fiscal Year Annual Research Report
胚幹細胞株を用いた血液幹細胞の自己複製能及び分化制御機構の分子生物学的解析
Project/Area Number |
11878137
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
横田 崇 東京大学, 医科学研究, 客員教授 (50134622)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西中村 隆一 東京大学, 医科学研究所, 寄付研究部門教員 (70291309)
高木 峰生 東京大学, 医科学研究所, 寄付研究部門教員 (10272501)
平家 敏男 東京大学, 医科学研究所, 客員助教授 (90190173)
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Keywords | 造血幹細胞 / 胚性幹細胞 / 自己複製 / HES |
Research Abstract |
造血幹細胞の自己複製と分化は確率論的に起こる(ストカスティックモデル)、あるいはサイトカインや造血支持細胞などによる特定の細胞系列への分化方向の指定(インストラクティブモデル)があるとする2学派が存在する。我々はこの問題を検証するために、ヒトGM-CSF受容体を発現するトランスジェニックマウス骨髄の造血細胞コロニー形成能の解析を行ってきた。その結果、ヒトGM-CSFは分化を規定しているのではなく、幹細胞の内在性機構により分化が決定され、その結果発現してくる受容体を発現している血液細胞をセレクションしているに過ぎないことを明らかにした。この結果は、インストラクションモデルというよりは、むしろ、ストカスティックモデルを支持する。しかし、造血幹細胞にES細胞におけるLIFのような真の自己複製因子があるのかについては、まだ明確な回答は得られていない。また、幹細胞に発現する自己複製に関与するサイトカイン受容体も明らかではない。そこで、LIF受容体シグナルをヒトGM-CSFで制御できるキメラ受容体を作製した(hGMR/mLIFR)。このキメラ受容体を発現するトランスジェニックマウス骨髄より、造血幹細胞を中内の方法によりクローンソーティングし、ヒトGM-CSFに対する増殖性を検討した。その結果、単独では増殖促進能は認められなかったが、SCFとヒトGM-CSFが共培養することにより顕著なクローン性増殖およびCFU-mixの著名な増加を観察した。キメラ受容体がソーティングしたクローンで発現していることはRT-PCR法で確認した。これらの結果は、ソーティングした細胞はキメラ受容体を発現しているが、LIF受容体を介するシグナル伝達経路が欠損していること、その欠損をc-kit受容体を介するシグナル伝達系が相補することを示唆する。今後この分子メカニズムを解明することが、造血幹細胞の自己複製を制御する上で緊喫の研究課題である。さらに、ES細胞から血液細胞を分化させる系を立ち上げ、転写因子HESの誘導的発現系を確立した。今後、この遺伝子をES細胞に遺伝子導入し、血球分化の系におけるHESの役割を検討する予定である。
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[Publications] Tonmida,M., Yokota,T. et al.: "Cytoplasmic domains of the leukemia inhibitory factor receptor required for STAT3 activation, and inducing differentiation and growth arrest of myeloid loukemic cells"Blood. 93. 1934-1941 (1999)
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[Publications] Matsuda,T., Yokota,T. et al.: "STAT3 activation is sufficient to maintain an undifferentiated state of mouse embryonic stem cells"EMBO J.. 18. 4261-4269 (1999)
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[Publications] Takagi,M., Yokota,T. et al.: "Chimeric cytokine receptor can transduce expansion signals in interleukin 6 receptor α (IL-6Rα)-, IL11Rα-, and gp130-low to -negative primitive hematopoietic progenitors"Mol Biol Cell. 10. 3633-3642 (1999)
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[Publications] Onuma,Y., Yokota,T et al.: "Molecular cloning of a novel Xenopus spalt gene(Xsal-3)"Biochem Biophys Res Comm. 264. 151-156 (1999)
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[Publications] Nishinakamura,R., Yokota,T. et al.: "Activation of Stat3 by cytokine receptor gp130 ventralizes Xenopus embryos independently of BMP-4"Dev Biol. 216. 481-490 (1999)