1999 Fiscal Year Annual Research Report
細胞性粘菌の発生分化におけるアンモニア輸送体の機能の解析
Project/Area Number |
11878145
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
田仲 可昌 筑波大学, 生物科学系, 教授 (80091908)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森尾 貴広 筑波大学, 生物科学系, 助手 (10292509)
|
Keywords | 細胞性粘菌 / アンモニア / 輸送体 / 膜タンパク質 / 遺伝子破壊 / モルフォゲン / ゲノム生物学 / 発生・分化 |
Research Abstract |
細胞性粘菌Dictyostelium discoideumは栄養増殖期と形態形成期が時間的に分離しており、形態形成運動に必要となるエネルギーは増殖期に同化したタンパク質の分解によって供給される。このため形態形成期に大量のアンモニアが放出されるが、このアンモニアは、一方では形態形成における様々な制御に関わるモルフォゲンの一つであることが知られている。我々は粘菌の移動体期のcDNAライブラリー中に、相同性検索からアンモニウム輸送体をコードすると予想される遺伝子amtA,amtBを見つけたので、粘菌の発生における両遺伝子の機能を明らかにすることにした。まず、cDNAクローンを利用してSouthern blotを行ったところ、これらの遺伝子は共に染色体上に1コピーずつ存在していることが分かった。また遺伝子領域をインバースPCR法を用いて増幅し、遺伝子の全塩基配列を決定したところ、両遺伝子は共に複数回膜を貫通する型の膜タンパクをコードすることが予想された。amtAは463個のアミノ酸からなる49.1KDaのタンパク質をコードしていた。また発生にともなう遺伝子の発現様式を解析したところ、1.6KbのmRNAが発生後期に発現量の上昇が見られ、子実体形成が終了する24時間目まで発現は増加した。これはこの遺伝子が胞子の形成に関わっていることを予想させる結果である。さらに遺伝子破壊株を利用した機能解析を行うため、塩基配列情報をもとに遺伝子破壊ベクターを作成した。現在amtAについて遺伝子破壊株を得ており、様々な条件下で発生にどのような影響が見られるかを解析中である。またamtBについても遺伝子破壊株を作成中である。
|