2000 Fiscal Year Annual Research Report
細胞性粘菌の発生分化におけるアンモニア輸送体の機能の解析
Project/Area Number |
11878145
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
田仲 可昌 筑波大学, 生物科学系, 教授 (80091908)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森尾 貴広 筑波大学, 生物科学系, 助手 (10292509)
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Keywords | 細胞性粘菌 / アンモニア / 輸送体 / 発生分化 / 遺伝子破壊 / 変異体 |
Research Abstract |
細胞性粘菌Dictyostelium discoideumの生活環において、アンモニアはモルフォゲンの一つとして機能する。アンモニアの機能の解明は、粘菌の発生分化の制御機構を理解する上だけでなく生物学の分野でも重要な課題である。そこで粘菌の発生期cDNAライブラリー中に見つけたアンモニウム輸送体遺伝子amtA(463アミノ酸、49.1kDa)について解析し、特に遺伝子破壊株を用いた機能解析を行った。発生過程の観察では、破壊株は野生株と同じように24時間で子実体形成を完了したが、各子実体の大きさが小さかった。また移動体期において、破壊株では野生株よりも移動体が移動する距離が短い傾向が見られた。子実体形成期にamtA mRNAの発現量が上昇しているので、この遺伝子が胞子形成に関与する可能性が考えられた。事実、子実体形成2週間後での発芽率は野生株63%に対し破壊株では11%だった。胞子の休眠が胞子塊中のアンモニウム濃度に影響されることが知られているので、胞子塊中のアンモニウム濃度を測定したが、両者に明確な差は認められなかった。以上のようにamtA破壊株ではアンモニアの作用が粘菌で報告されている発生期の各段階において異常が認められた。さらにAmtAの機能とアンモニアとの関連をより明確にするため、破壊株と野生株をそれぞれ塩化アンモニウムを加えた基質上で発生させたところ、野生株では50mM塩化アンモニウム存在下でも60時間後には子実体形成が完了したが、破壊株では集合初期からほとんど発生が進行せず、アンモニアに対する感受性が著しく高いことが分かった。以上の結果からAmtAは発生期におけるアンモニアの作用と関連した機能を持っていることが考えられる。
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