1999 Fiscal Year Annual Research Report
多分化能をもつメダカ培養細胞株の増殖・分化の条件検討と魚類胚工学への応用
Project/Area Number |
11878170
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
兵頭 昌雄 東海大学, 開発工学部, 教授 (60096253)
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Keywords | メダカ / 胚性幹細胞 / 細胞培養 / キメラ動物 / conditioned medium / ゼラチン / ポリリジン |
Research Abstract |
この研究の目的は,メダカ初期胚より分離した分化の全能性をもつ胚性幹細胞を長期間にわたって培養するための条件を見出すことにある.今年度における研究では,おもに研究計画のうち胚性幹細胞の培養方法の検討を行った。これまでの研究で,メダカ胚より分離した細胞を,マウスの実験系にならってメダカ胚由来の培養細胞株をフィーダー細胞として培養し移植すると,細胞の全能性は失われ,移植胚の多くは奇形となることが明らかになっている.こうしたこれまでの研究において,このフィーダー細胞の培養も含めて,メダカ胚より分離した細胞の培養に適した培地の検討も十分にはなされておらず,哺乳動物の細胞を培養するための培地がそのまま魚類細胞にも使用されてきた.そこで継代細胞をもちいて,まず市販の各種培地の適性について検討した。その結果用いた細胞株により違いがあるもののL15培地と199培地が適当であることがわかった.胚より分離した細胞の場合は特に199培地が適当であった.また,培地のpH,血清要求性,浸透圧などについても検討し最適の条件を見出している.つぎに細胞を培養する上では,細胞のディッシュへの接着がコーティングにより大きく影響されることも明らかとなり,最適な条件はゼラチンとポリリジンの両方を用いた場合であった.さらに,培地中にconditioned mediumを添加すると細胞の接着や増殖が影響されることも明らかになった.このように検討した条件下で培養した細胞を胚に移植し,キメラ形成能について調べている.これまでのところ,一日間の短時間ではあるが培養した細胞を移植することでキメラメダカを作成することができている.今後はさらに培養条件の検討を重ね,長時間の培養が可能になるように研究を続けていきたい.
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