2000 Fiscal Year Annual Research Report
血管内皮細胞成長因子徐放カプセルによる類洞構造を持つ肝組織生体外再構築の試み
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11878174
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
酒井 康行 東京大学, 生産技術研究所, 講師 (00235128)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牛田 多加志 東京大学, 工業技術院・産業技術融合研, 主任研究官
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Keywords | 生分解性樹脂 / マイクロカプセル / 血管内皮細胞 / 血管新生 / 肝細胞 / in vitro / 組織再構築 / バイオハイブリッド組織 |
Research Abstract |
in vitroにおける大型の軟組織再構築のための隘路となっている血管構造ネットワ.ク再構築についての一つの試みとして,各種徐放因子を包括する生分解性マイクロカプセルによる再構築組織へのin vitro血管誘導を試みた. ます,ポリ乳酸グリコ.ル酸ゼラチンマイクロカプセルを調製し,その特性を評価した.BSAを包括した場合,約70%程度が包括され,平均で1日あたり固定化量の1%程度の緩やかな徐放が観測された.そこで,このマイクロカプセルを用いて,類洞内皮細胞やウシ大動脈血管内皮細胞・ウシ副腎由来血管内皮細胞とラット肝細胞とを,種々の培養条件下(単層培養,サンドイッチコラ.ゲンゲル培養,スフェロイド培養)で混合培養を行い,徐放されるVEGFの効果を評価した.Folkmanらは,悪性化したランゲルハンス島がin vitroにおいても血管内皮細胞の侵入を促進することを示しており,VEGF産生能を増強することで,正常組織にも同様の血管侵入が促せるのではないかと期待した.いずれの培養条件においても,徐放VEGFによると見られる内皮細胞の増殖促進が観察されたが,共存する肝細胞と共同して類洞様構造を形成するには至らなかった.特に,カプセルを内部に持つ肝細胞スフェロイドを内皮細胞とともにゲル包括した場合に,スフェロイド内部に周囲から血管内皮細胞が侵入するのではないかと期待は見事に裏切られた.VEGFのみで組織工学に利用可能なほどの血管再構築は不可能で,さらに未知の因子がin vitroにおける血管侵入に必要であることが判明した. そこで,目的は異なるが,同様の製法のマイクロカプセルに,インスリン・デキサメサゾン・上皮成長因子・グルカゴンを同時包括してファイブロネクチン被覆し,ラットまたはブタの肝細胞とへテロスフェロイドを形成させた.その結果,これらのバイオハイブリッド型の組織は,周囲からホルモンや増殖因子の供給がなくとも,高レベルの機能を長期に発現する事が判明した.これは人工臓器学会誌に掲載,Cell Transplantation誌に印刷中,Tissue Engineering誌に投稿中となっている.
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[Publications] Y.Sakai,K.Furukawa,T.Ushida,T.Tateishi,and M.Suzuki: "In vitro organization of biohybrid rat liver tissue incorporating growth-fator-and hormone-releasing microcapsules"Cell Transplantation. (in press).
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[Publications] 酒井康行,古川克子,成瀬勝俊,牛田多加志,針原康,立石哲也,鈴木基之: "増殖因子・ホルモン徐放マイクロカプセルを用いたブタ肝細胞凝集体高機能化の試み"人工臓器. 29(2). 426-432 (2000)