2012 Fiscal Year Annual Research Report
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11F00327
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
横山 順一 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LAKE MatthewJames 東京大学, 大学院・理学系研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | スーパーストリング / 宇宙ひも / 相転移 / 初期宇宙 / 余剰次元 / 高次元理論 / 位相的欠陥 / 時空構造 |
Research Abstract |
本研究の目的は、宇宙論的スーパーストリングを用いることにより、宇宙論的な観測から余剰次元の物理を引き出すことにあった。昨年度から開始した研究として、まず一般のストリングが背景時空に及ぼす影響を考察するため、一様等方宇宙で対称性の破れに伴って宇宙ひもが生成した場合、時空構造にどのような影響を及ぼすか、解析し、その結果をPhysical Review D誌に論文として刊行した。次に宇宙論的スーパーストリングと場の理論的なストリングの対応関係を明らかにする研究に着手した。アーベリアンヒッグスモデルにおいて無限に長いストリング解を得るためにニールセンとオルセンが仮定した解の構造を拡張し、軸方向に波を持った解を構成した。通常はこのような波はゲージモードとして除去可能であるが、軸状にゲージ荷の分布が見られる場合には物理的なモードとして存在することが可能である。次にこのような新しい励起を持つ拡張ニールセン・オルセン解をスーパーストリング理論から得られるFストリング解と比較することにした。Fストリングは余剰次元空間にも及ぶため、クレバノフ・ストラスラー型の余剰次元空間を渦巻くストリングの形状が観測可能な4次元時空にも現れることになる。この余剰次元の影響が、場の理論によって構成された拡張ニールセン・オルセン型のストリングにおける軸方向の波動と同一視できることを見いだした。すなわち、軸方向にゲージ荷をもった場の理論的ストリングとスーパーストリング理論におけるFストリングは互いに対応関係を持つのである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本外国人特別研究員は、来日・就任前に癌に罹患していることが判明し、来日後短時日のうちに母国英国に一時帰国し、治療に専念しなければなりませんでした。幸い治療は順調に進みましたが、折柄起こった東日本大震災後の混乱のため、再来日を延期せざるを得ず、本格的な研究のスタートが遅れたのが主たる原因です。しかしまた、英国ではわずか3年間の大学院生活で博士号を取得可能なため、5年間鍛えちれた本学博士と比べるとその実力不足は否めず、実力以上の目標を設定しすぎたきらいもあったと言わざるを得ません。
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Strategy for Future Research Activity |
本外国人特別研究員は任期終了後タイ国の研究機関に次のポストを得ましたが、現在も随時連絡を取り合い、当初研究計画を一部遂行中です。
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Research Products
(2 results)