2011 Fiscal Year Annual Research Report
廃棄物を活用した耐震性能を有する複合地盤材料の開発
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11F00377
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
鵜飼 恵三 群馬大学, 大学院・工学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
AHMED A.A. 群馬大学, 大学院・工学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 廃石膏ボード / 再生半水石膏 / 地盤改良 / 耐震性 / 廃棄物処理 / 軟弱地盤 / 不純物の溶出 |
Research Abstract |
本年度の研究成果は次のようである。ため池底泥と軟弱な道路路床粘性土を廃石膏を加熱して得られる再生半水石膏により改良し、改良土の強度特性と環境安全性を研究した。なお、再生半水石膏のみでは、水溶性があるため、添加材として高炉セメントを加えた。研究の対象とした強度特性は、実験室内と現場における改良土の引張強度、圧縮強度、及びコーン強度である。環境安全性は、石膏ボードと高炉セメントの製造過程で含有されるフッ素、ホウ素、六価クロムのような不純物の溶出について調べた。硫化水素の発生についても調べられた。これについては、標準的な試験法が無いため、簡単な測定法を独自に考案し、実験室内と現場での安全性を確認した。改良土の耐久性も重要な性能指標であるため、凍結・融解及び湿潤・乾燥の繰り返し試験をそれぞれ行い、耐久性能を有することを確認した。再生半水石膏と高炉セメントで改良された土の微細構造と鉱物・化学組成を詳細に調べるために、操作型電子顕微鏡(SEM)とX線回析(XRD)による解析を行った。その結果、エトリンガイトの生成が改良土の強度増加に大きな寄与をしていることが明確にされた。改良土から成る盛土模型を作成して予備的な振動台実験を行い、耐震性の向上を確認した。 本年度の研究結果をまとめると次のようになる。強度性能と環境安全性を研究して、廃石膏から再生された半水石膏を利用した改良土の実用性を確認した。経済性も調査しており、再生半水石膏を安価に供給できる体制が整いつつある。これにより廃石膏ボードの再資源化の道が確実なものとなった。次年度は、改良土の地震時安定性などに歩を進め、廃石膏ボードの再資源化システムを完成させたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した「研究の目的」をほぼ達成した。当初予定していなかった操作型電子顕微鏡(SEM)とX線回析(XRD)による解析を行うことができ、計画以上の成果も得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の目的である、再生半水石膏で改良された軟弱地盤の耐震性能を明らかにする必要がある。このため、改良土の動的性質の向上を振動三軸試験装置を用いて調べたい。また、改良土から成る盛土の振動台実験も実施したい。 これらの成果を踏まえて、最終的には、経済性を考慮した廃石膏ボードの再資源化システムを完成させ、社会に普及、定着させたい。
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