2011 Fiscal Year Annual Research Report
環境中の微量金属および同位体比をつかった高分解能環境復元
Project/Area Number |
11F01015
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
横山 祐典 東京大学, 大気海洋研究所, 准教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
NOT Christelle 東京大学, 大気海洋研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 微量金属 / 炭酸塩 / 表層環境 / 同位体 / 海洋 / ウラン / 質量分析 / レーザー |
Research Abstract |
環境中の同位体や元素分布を、様々な環境試料を使って復元することは、地球表層の環境動態を定量的に解明する上で重要である。本研究では、水試料や炭酸塩サンプルの微量金属の同位体および元素分布を高分解能で行うことにより、過去の海洋や表層環境の復元を行う。本年度は、ウラン系列核種を用いた放射性元素の実験手法確立のために、研究室環境の立ち上げの第一段階を行った。特にクリーンルーム環境については、予備実験を進めることができたが、定量を行うために必要な標準物質の輸入手続きに半年以上の時間がかかり(放射性元素であるために、輸出元の会社であるベルギー政府の許可が下りるのに時間がかかった)、年度後半に溶液の希釈など、必要な化学処理を開始するに至った。一方で、レーザーを使った微量試料の局所分析については、異なる環境下で飼育した有孔虫の殻の元素分布について、様々な空間解像度での分析を行うことができ、元素分布と水温などの環境因子の関連性について、興味深い知見が得られつつある。異なる生育時期に、様々な環境に暴露されて形成された生物鉱化作用によって作られた炭酸塩骨格の、高空間分解能分析を進めることにより、より詳細な環境情報を引き出す可能性が見えてきた。飼育試料には、異なるpH環境により生育した有孔虫殻も含まれており、現在進んでいる、大気中の二酸化炭素分圧上昇に伴う海洋酸性化についての生物への影響についての研究に役立つ基礎データとなる可能性が高い。レーザーを用いた生物試料分析についての学会発表は、日本第四紀学会にて発表賞を受賞した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
やはり、標準物質を国内に輸入するために必要な時間と事務手続きが膨大にかかったことが大きい。しかしその間、生物試料の局所分析の技術開発を行うことができ、定量的なデータを収集できたため、実質的には概ね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は溶液ベースでの放射性核種分析法の確立と、収集を終えている環境水や炭酸塩試料の分析をすすめていく予定である。またレーザーを用いた局所分析の追加測定も進めていく。
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