2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11F01035
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
林 民生 京都大学, 理学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MACIVER Eleanor 京都大学, 理学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 触媒的不斉合成 / 不斉ケイ素中心 / トランスメタル化 / ロジウム触媒 / 有機ケイ素化合物 |
Research Abstract |
光学活性化合物の効率良い供給法の開発は急務である。さまざまな供給法の中で,触媒的不斉合成は原理的に極少量の不斉触媒が無限の光学活性化合物を供給し続けることができる高効率プロセスであり,この触媒的不斉合成は最近約30年間に活発に研究されてきたが,完成度の高い不斉反応は非常に限られている.ロジウムまたはルテニウム触媒による不斉還元反応のように信頼性の高い,中には工業的利用にまで到達したものも開発されているが,いずれも不斉炭素中心の構築に関するものである.これに対して,不斉ケイ素中心を持つ有機ケイ素化合物は,その有用性が期待されているにも関わらず,未だに効率的な不斉化の例はほとんど報告されていない. このような背景のもと,今回,不斉ケイ素中心をもつ有機ケイ素化合物の新しい触媒的不斉合成法の開発を目指して研究を行い,分子内にアルコール部位をもつプロキラルな有機ケイ素化合物を出発物質として用いることにより,ロジウム触媒存在下,非対称化を伴うエナンチオ選択的なトランスメタル化という新しい手法による不斉誘起が可能であることを見出し,ケイ素上に不斉点をもつ環状シリルエーテルを高収率かつ比較的高いエナンチオ運択性で合成することに成功した.この反応においては,用いる有機ケイ素化合物の骨格に応じて適切な光学活性ビスホスフィン配位子を触媒金属であるロジウムに担持させることが必要であり,いくつかの化合物群の効率的な不斉トランスメタル化を実現した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
目的とする不斉トランスメタル化反応を触媒的に進行させる反応系の探索に多くの時間を費やし,また,高立体選択性を与える不斉配位子の選定が当初期待していたよりもそれほど容易でないことが分かったため,研究の進度としてはやや遅れていると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
基本的にはこれまでの研究方針を維持し,さらに高立体選択的に反応を進行させることのできる触媒反応系の確立を目指す.また,確立した反応条件を種々の有機ケイ素化合物に適応し,多様な光学活性有機ケイ素化合物の供給が可能となるように研究を進める.
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