2011 Fiscal Year Annual Research Report
新規固体潤滑剤の高温トライボロジー特性に関する研究
Project/Area Number |
11F01055
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
佐々木 信也 東京理科大学, 工学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
李 玉峰 東京理科大学, 工学部, 外国人特別研究員
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Keywords | トライボロジー / 表面・界面物性 / 構造・機能材料 / 省エネルギー / 設計工学 |
Research Abstract |
室温から900℃までの高温環境下において,摩擦係数0.3以下,比摩耗量10-7mm2/Nを可能とする,新規高温固体潤滑材料の開発を目指す. 摺動相手材料には,高温構造用セラミックスとして汎用性のあるアルミナ焼結体を用いた.摺動条件は,平均面圧100MPa,平均摺動速度は100mm/secを基準とした.新規開発材料の具体的な組成は,ジルコニアセラミックスをマトリックスとして,これに高温固体潤滑剤であるアルカリ土類硫化物(例えばBaSO4やSrSO4)粒子を分散した複合材料をベースとするものである.これに,室温および中温域で固体潤滑作用を発揮する固体潤滑剤を添加して,それぞれの添加材料の機能発現および相互作用,さらに広い温度域における性能および耐久性について調べた. アルカリ土類硫化物であるBaSO4とSrSO4について,化学沈殿法を用いて様々な結晶形状と結晶粒径を保つ一次粒子の合成を行い,それぞれタイプの異なる粒子素材を作製した.これらの粒子を,ジルコニアをマトリックスとした複合材料粉末に添加し,SPS法により焼結した.この際,焼結条件と添加粒子の形状および構造変化を分析し,最適な焼結条件を見いだした.素材と焼結後における添加粒子の形状および構造との関係をもとに,高温摩擦・摩耗特性への添加粒子の影響を明らかにするための基礎データを収集した.高温摩擦・摩耗試験は,高速往復動式SRV試験機を用いた.作製したサンプルの微細組織や組成分布については,SEM-EDX装置を用いて解析した.同様に,摩擦試験後の表面をSEM観察することにより,摩擦・摩耗メカニズム解明のための知見を得た.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画では,独立行政法人産業技術総合研究所東事業所にあるスパークプラズマ焼結装置を借用し,高温固体潤滑剤の創製を予定していたが,震災の影響で装置が故障し,その後も電力事情により大量の電力を消費する装置の稼働が難しく,実験が予定通りに進められなかった.
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Strategy for Future Research Activity |
都立産業技術研究センターにあるスパークプラズマ焼結装置の借用を検討する.こちらの装置での実験実績がないため,焼結プロセス条件の最適化や治具などの新規製作などが必要になると予想されるが,昨年度の遅れを取り戻すべく鋭意,研究を推進する.
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