2012 Fiscal Year Annual Research Report
ブラシカオレラセアの根こぶ病抵抗性の遺伝子解析と抵抗性選抜DNAマーカーの開発
Project/Area Number |
11F01083
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
岡崎 桂一 新潟大学, 自然科学系, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
DOULLAH M.-U. 新潟大学, 自然科学系, 外国人特別研究員
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Keywords | Brassica oleracea / 根こぶ病 / DNAマーカーの開発 |
Research Abstract |
我々の以前の研究で、根こぶ病に対して罹病性のブロッコリー'GC'と抵抗性のキャベツ'安寿'の交雑から得たF3後代を用いて,根こぶ病抵抗性に関与する量的形質遺伝子座(QTL)の解析を行った結果、大きい効果を持つAnju-1のほか比較的小さい効果をもつAnju-2,-3,-4,GC-1の合計5つの抵抗性QTLを明らかにした。しかし,5つのQTLが根こぶ病抵抗性に及ぼす効果については明らかになっていないほか,5つのQTLにリンクしているDNAマーカーを用いて,各抵抗性遺伝子の有無を検査できるか明らかになっていない。そこで,課題のひとつとして,これらの点を明らかにすることを目的に実験を行った。 5つのQTLにおいて抵抗性の遺伝子を含むかどうかを判定するにDNAマーカーを各QTLにおいて2~3個選んだ。このDNAマーカーを用い,罹病性'GC'×抵抗性'安寿'由来のF3後代において,各個体がどのような抵抗性QTLを持つか検査を行い,抵抗性QTLを単独で持つ個体や,複数組み合わせて持つ個体を選抜した。選抜個体は,接種試験を行い,その個体の抵抗性程度を判定した。その結果,Anju-2,-3,-4を単独で含む系統は極めて罹病度が高かったが,Anju-1に加え-2,-3,-4を含む個体は比較的強い抵抗性を示した。また,Anju-1に-2,-3,-4を累積する毎に,抵抗性が強くなることが明らかになった。本実験で,高度病害抵抗性を植物に付与するには抵抗性遺伝子の集積が必要なことが明らかになったほか,本研究で用いた根こぶ病抵抗性遺伝子連鎖マーカーを用いると,正確に根こぶ抵抗性遺伝子を選抜することができることが分かった。一方,根こぶ病抵抗性遺伝子の遺伝子単離に向け、3つのQTLについて、QTL領域に染色体組換を起こした個体を選抜するとともに、ファインマップの作成を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1年目に実施予定であった「'キャベツ'の根こぶ病QTL領域のさらなるファインマッピングと抵抗性選抜マーカーの作成」については,抵抗性遺伝子そのものから設計したDNAマーカーではないが,抵抗性遺伝子の近傍マーカーを使い,植物体が抵抗性遺伝子を含むかどうか判定できた。そのマーカーを用い,複数の抵抗性遺伝子を集積した個体(系統)は,根こぶ病に対して極めて強い抵抗性を示すことを実証した。この結果より,本研究で用いた根こぶ病抵抗性遺伝子マーカーは,キャベツ等の根こぶ抵抗性育種を推進する上で,極めて有効と思われた。
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Strategy for Future Research Activity |
根こぶ病抵抗性遺伝子の単離に向け、5つある抵抗性遺伝子にうち,3つのQTLについて、QTL領域に染色体組換を起こした個体を選抜するとともに、ファインマップの作成を行なった。このうち,最も効果が大きいAnju-1については,ファインマップの情報をもとに,候補遺伝子を推定できた。本年度は,この候補遺伝子が真の抵抗性遺伝子であるかどうか明らかにするため,遺伝学的な実験を行う。
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Research Products
(1 results)