2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11F01092
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
STRUSSMANN C.A. 東京海洋大学, 海洋科学技術研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
RAHMAN S.M. 東京海洋大学, 海洋科学技術研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 凍結保存 / 魚類 / 受精卵 / 胚 / 凍結保護物質 / チルド耐性 / DMSO / エレクトロポレーション |
Research Abstract |
本研究では、絶滅の危機にある魚類の保全や貴重な魚種の遺伝子の保存・有効利用を最終目的として、魚類胚の凍結保存技術の確立を目指す。凍結保護物質浸漬条件の開発に加え、生物学的手法やアルギン酸ナトリウムのマイクロカプセル、凍結保護物質のマイクロインジェクション、液体窒素・液化冷媒を用いた急速凍結による凍結保存条件を検討する。本年度(平成24年4月~平成25年3月)では、まず、受精卵への凍結保護物質の浸透を促進するために、電気パルスを用いたエレクトロポレーション法の最適条件を求めた。そこで、人工海水に浸した体節期の胚に及ぼす100~900Vの電気パルスの影響を調べたところ、100~300Vの範囲で対照区(0V)とほぼ同様な生存率が得られたが、400V以上のパルスでは生存率が著しく低下した。次に、先述の結果を基に、10~30%DMSO(凍結保護物質)溶液に浸した受精卵に300Vのパルスを与え、処理後の生存率および卵内のDMSO濃度を測定した。DMSO濃度の測定にはHPLC法を用いた。その結果、10~30%DMSO実験区の生存率は何れも良好であったが、受内のDMSO濃度はパルスの強度とともに上昇した(最大で78mM)。なお、卵内へのDMSO浸透に及ぼす複数回パルス処理の効果が認められなかったが、電気パルス処理前に20分間10%DMSOの浸透処理した実験区では、生存率が高く、受精卵内のDMSO濃度は116mMであった。以上のことから、電気パルスによって凍結保護物質の浸透性を促進する一定の効果が認められた。一方、最適な冷却・凍結速度については、最終的に冷凍する前に受精卵・胚を一時期低温処理する必要があるため、各発生段階の低温耐性(チルド耐性)を検討した。その結果、体節期から尾鰭伸長期にかけてチルド耐性が上昇することが判明し、発生後期の胚は凍結保存に最適であると示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
最初に挙げられた課題について確実に成果を上げていることと、本研究の成果を学術論文および学会発表にて公開しているから。
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Strategy for Future Research Activity |
現時点で特に推進方策の変更が必要はないと判断しているので、概ね当初計画の通りで実施する予定。
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