2013 Fiscal Year Annual Research Report
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11F01092
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
STRUSSMANN C. A. 東京海洋大学, 海洋科学技術研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
RAHMAN S. M. 東京海洋大学, 海洋科学技術研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 凍結保存 / 魚類 / 受精卵 / 胚 / 凍結保護物質 / シロギス / DMSO / 超音波ソニケーション |
Research Abstract |
本研究では、絶滅の危機にある魚類の保全や貴重な魚種の遺伝子の保存・有効利用を最終目的として、魚類胚の凍結保存技術の確立を目指す。凍結保護物質浸漬条件の開発に加え、生物学的手法やアルギン酸ナトリウムのマイクロカプセル、凍結保護物質のマイクロインジェクション、液体窒素・液化冷媒を用いた急速凍結による凍結保存条件を検討する。本年度(平成25年4月~平成25年9月)では、モデル魚種のシロギス(海産魚)を用いて卵膜の凍結保護剤透過性の向上を目指すため、超音波ソニケーションによる凍結保護物質の浸透促進効果を検討した。その結果、1~3分間で37.5W/cm2の超音波ソニケーション処理を施したシロギス受精卵(体節期胚)内の凍結保護物質濃度が、ソニケーションを行わなかった対象区に比べて、10%DMSO処理区で19.4%、20%DMSO処理区で31.7%、30%DMSO処理区で112.5%まで有意に増加した。さらに、前処理として受精卵を20分間10%DMSOに浸漬した後に20%DMSOで3分間超音波ソニケーションを行ったところ、受精卵は高い生存率を維持しながらも前処理を行わなかった区に比べて約40%のDMSO浸透の増加が確認された。また、尾鰭伸長期の胚を用いた同様の実験では、さらに高い効果が得られた。以上の結果から、超音波ソニケーションにより魚卵の膜透過性が向上し、凍結保護物質の浸透が促進されることが判明した。これらの結果は今後、凍結保存の専門科学雑誌Cryobiologyに投稿する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
最初に挙げられた課題について確実に成果を上げていることと、本研究の成果を学術論文および学会発表にて公開しているから。
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Strategy for Future Research Activity |
現時点で特に推進方策の変更が必要はないと判断しているので、概ね当初計画の通りで実施する予定。
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