2012 Fiscal Year Annual Research Report
カンピロバクター感染に伴うギランバレー症候群発症に関与するレクチン受容体の探索
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11F01107
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山崎 晶 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
VONGSAVANH Phongsisay 九州大学, 生体防御医学研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | レクチン / ギランバレー / 糖脂質 |
Research Abstract |
ギランバレー症候群に関与するCampylobacter jejuni由来糖脂質、中枢神経由来糖脂質を認識する受容体の探索1)糖脂質を認識する新たな受容体の同定 レクチン受容体、Igドメインを有するITAM共役受容体とヒトIgGFc領域とを融合させた可溶化受容体タンパクを用いて、Campylobacter jejuni、中枢神経に含まれるガングリオシドを中心とした特徴的な糖脂質(10種類)の新規受容体を探索した。また、アジュバント活性を有するBordetella pertussis toxin(PTX)、Vibrio cholerae toxin(CTX)に関しても同様の結合検出系を用いて新規受容体を探索した。探索の結果、糖スフィンゴリン脂質であるsulfatide、PTX、CTXに対する新規受容体を複数同定した。これらの受容体によるリガンド結合をより生理的に精査するため、膜貫通ドメインを含む全長をレポーター細胞に発現させ、候補リガンドで刺激した後のレポーター活性を調べた。その結果、前述の受容体一リガンドペアのうち、約半数が、細胞活性化にも繋がる機能的な認識であることが判明した。 2)中枢神経に含まれる糖脂質の新たな生理機能の探索 中枢神経に限局して発現する糖脂質が、単独でミエロイド細胞を活性化することを見出した。また、同時に、 様々なアジュバントで活性化させた樹状細胞、マクロファージ、グリア細胞の活性化を抑制する活性を有することも判明した。実際、in vivoの自己免疫疾患モデルである実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)の発症を、この糖脂質が抑制することも明らかとなった。以上より、中枢神経糖脂質が免疫系を制御している可能性が示され、この制御には少なくとも活性化受容体、抑制性受容体の2種類が関与していることが強く示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新規糖脂質受容体を見出した。また、ギランバレー症候群に関与する候補糖脂質が、免疫系を抑制する活性を有することをin vivoで証明した。
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Strategy for Future Research Activity |
ギランバレー症候群に関与し得る中枢神経系糖脂質の、実験的自己免疫性脳脊髄炎抑制作用を担う抑制性受容体を同定する。現在、抑制効果が認められない細胞株を見出している。この細胞株に、既に強い抑制作用を見出している細胞より作製したcDNAライブラリーを導入し、活性が再現できたクローンより導入遺伝子を同定する。
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Research Products
(9 results)