2011 Fiscal Year Annual Research Report
「占領空間」の移動を問う―<フィリピン・ウチナーンチュ>の事例
Project/Area Number |
11F01314
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
伊藤 るり 一橋大学, 大学院・社会学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ZULUETA JohannaOrgiles 一橋大学, 大学院・社会学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 沖縄 / 占領 / 移動 / フィリピン・ウチナーンチュ / 帰還移民 / 故郷 / 米軍基地 |
Research Abstract |
本研究は、米軍駐留という「占領空間」とのかかわりで、沖縄-フィリピン間移動を「フィリピン・ウチナーンチュ」に注目しながら解明することにある。さらに、本研究は沖縄-フィリピン間の人の移動を探求することを通じて、現代の移動・移民研究(国際社会学)に貢献するものである。本研究の目的を達成するために、2011年12月19日-2012年1月1日の沖縄での予備調査を行い、またフィリピンでも1月23日-3月17日にフィールド・ワークを行った。主な考察点は以下である。 1.フィリピン・ウチナーンチュはフィリピンと沖縄に居住し、本研究では、「帰還者」と「非帰還者」に彼ら/彼女らを区分する。彼ら/彼女ら(帰還者と非帰還者)の移動のプロセスと経験を探究し、自分の移動と故郷が、どのように語られているのかを調査した。それに関連し、2.「故郷の作り方(Home-making)」について調査し、「帰還」という概念、また移動のプロセスとして、理論的な分析を試みた。そして、3.これまでに収集したデータを使用し、「占領空間」という復帰後に継続している米軍のプレゼンスを理解しながら、現在沖縄-フィリピン間の移動の関係を考察した。 具体的には、以下のように実施した。2011年12月に沖縄で調査を行い、那覇における小禄カトリック教会において参与観察を行った。小禄教会では、フィリピン・ウチナーンチュ一世と二世が多く集まっている。そこでは、クリスマスパーティーとお正月のお祝いにも参加し、一世と二世と交流した。そして、12月20日に琉球大学の国際沖縄研究所で研究報告を行った。また、1月-3月には、フィリピンで調査を行い、沖縄・フィリピン県人会を訪問し、他の日系人会にも訪問して、様々な情報と資料を収集した。また、最も多い日系人に住んでいるダバオ市に行って、フィールド・ワークを行った。マニラ以外の所(ラグナ州、ヴァレンズエラ市)でもインタビューを行った。研究成果を2月22日-23日にクアラ・ルンプールで開催されたJapan Studies Association of ASEANの学会で報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究開始(2011年11月)から6ヶ月以内であるが、研究は順調に進展している。本研究の目的を達成するために、研究分担者のズルエタは沖縄(13泊14日滞在)とフィリピン(54泊55日の滞在)で調査を行った。現在、調査の結果をまとめ、分析中である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の目的を達成するために、今後は沖縄で長期間に滞在する予定であり、研究対象のフィリピン・ウチナーンチュにインタビューを行う。そして、研究分担者のズルエタは彼ら/彼女らが所属する教会(カトリック・キリスト教)コミュニティーを訪問し、参与観察をする予定である。さらに、沖縄占領期に関する重要な資料を収集し、沖縄の古文書館と米国のワシントンにあるアーカイブにも訪問する予定である。
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