2011 Fiscal Year Annual Research Report
インドネシアと日本の浅熱水性金銀鉱床におけるSe型及びTe型鉱化作用の成因
Project/Area Number |
11F01330
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
松枝 大治 北海道大学, 総合博物館, 特任教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
YUNINGSIH Euis T. 北海道大学, 総合博物館, 外国人特別研究員
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Keywords | マグマ-熱水系 / 浅熱水金銀鉱床 / Te-Se鉱化作用 / 島弧環境 / 西部環太平洋地域 / 生成条件 / 生成年代 / 流体包有物 |
Research Abstract |
島弧環境では活発なマグマー熱水作用に伴い浅熱水性金銀鉱床が発達し、特徴的にSe及びTeタイプに大別される鉱化作用が認められる。インドネシア及び日本両国は酷似した環境にあり、同様に分類される鉱化作用が発達する。本研究はタイプの異なる金銀鉱化作用の成因に焦点を当て、両地域の比較研究を行うものである。さらに、島弧環境におけるSe、Teタイプの地域的分布特性とそれらの生成環境の推定、鉱床成因論を展開する。本研究では、具体的に過去の文献調査を始め現地調査及び試料採集を実施し、それらを基に全岩・鉱石化学組成を明らかにする。さらに、同位体地球化学的手法による鉱床生成年代及び関係火成岩や熱水の起源の特定に加え、各鉱床での物理化学的生成条件の推定、Se及びTeタイプの鉱化作用の地質学的背景や母岩特性、との関係を明らかにする。 研究初年度は、過去の文献調査及び北大総合博物館所蔵試料の有効利用を考慮して、データベース作成作業を開始した。また西南北海道地域での現地調査及び試料採集を一部実施し、薄片・研磨薄片試料作製と顕微鏡観察とEPMA分析を実施し、詳細な鉱物組合わせと化学組成を明らかにした。鉱石・全岩化学分析も併せて行い、同位体比測定により鉱床生成年代決定と関係火成岩や熱水の起源を推定した。得られた結果に基づき、各鉱床の生成条件の推定、Se及びTeタイプ鉱化作用の地質学的背景や母岩特性との関係も検討した。また、鉱床生成温度と深度推定のため、各試料の流体包有物の均質化温度・塩濃度測定を予察的に開始した。現段階で得られている成果は、関係シンポジウム等で一部公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
例年に比べて北海道における今冬の気象条件が急激に悪化し、予定していた現地調査・サンプリングの実施が完全に達成できなかったことから、当初予定より一部遅れが生じている。現地調査の遅れは次年度に補足することへ計画変更し、2年・3年次に予定していた既存試料を用いた各種室内実験(年代測定、安定同位体比測定等)及び研究成果の公表等を一部前倒しで実施した。また、次年度以降の調査計画及び研究成果の向上のため、新たに関係機関において衛星画像処理による鉱化帯の把握等の予備調査も開始した。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度の天候不順により生じた遅れは2年時に補足することに計画変更を行った。しかし、2年時の当初計画遂行の必要性と今後の実験計画もあることから、若干予定より野外調査・試料採集を優先して早めに設定すると共に、本研究を通じて得られた成果を逐次関係学会及び国際集会において積極的に公表して行くことする。今後は日本国内に留まらず、インドネシア産試料に関しても追加サンプリング及び室内実験等の各種検討を加える予定である。また前述のように、新たな手法として衛星画像を多用したリモートセンシング手法も取り入れた研究の展開も考慮している。
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Research Products
(4 results)