2012 Fiscal Year Annual Research Report
表面配位高分子による電界効果トランジスタのボトムアップ作製
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11F01339
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
北川 宏 京都大学, 理学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
XU Gang 京都大学, 理学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | FETデバイス / 金属錯体 / 表面配位高分子 / 多孔性 / ナノ界面技術 |
Research Abstract |
金属イオンと架橋配位子の自己集合により生成する無限構造を有する多孔性配位高分子(Metal-Organic-Frameworks : MOFs)を固体表面上に固定化することでガスの分離、吸着、反応等の素機能を集積化する技術は電極触媒材料や気体分子に対するセンサー材料としての応用が考えられることで注目されている。本共同研究では、固体表面上に結晶配向性を有する新規のMOF薄膜をボトムアップ法により構築し、これを電界効果トランジスタ(FET)のチャネル素子として用いることを最終的な目標としている。一年目となる2012年度は、まず基盤材料となる結晶・配向性のMOF薄膜を構築することを目的とし、5,10,15,20-tetrakis(4-carboxyphenyl)porphyrin(TCPP)とCu2+イオンを用いた水熱合成からナノメートルサイズの二次元層状のMOFシートを構築することに成功した。得られたナノシートをナノサイズの構成要素(モジュール)として、モジュールの分散液に固体基板を浸すことでモジュールを基板上に写し取り、この操作を複数回繰り返すことで固体基板上にナノサイズのモジュールが段階的に積み重なったMOFナノ薄膜を構築することに成功した。X線回折(XRD)、及び微小角X線回折(GIXRD)測定の結果から、得られたMOF薄膜は結晶性であり、基板の面内方向及び面外方向ともに配向性を有していることが明らかになった(J. Am. Chem. Soc. 2012, 134, 16524.)。次にこれらの材料を用いたデバイス作成の前段階として、上述したMOF薄膜を電極を蒸着した基板上に作成し、湿度雰囲気下でプロトン伝導測定を行うことで、このMOF薄膜が極めて高いプロトン伝導性を示すことを明らかにした(J. Am. Chem. Soc. 2013, underrevision)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
基盤となるMOF薄膜の構築に成功し、これを用いたプロトン伝導性の測定など、デバイスへの応用に向けて着実に進んでいる。更には研究開始からすでに2報目の論文誌への投稿も完了していることから、当初の計画以上に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
すでに結晶性MOF薄膜の構築、及び電極上に成長させたMOF薄膜の物性測定等、本研究の最終目標を達成するために必要な基盤はすでに整ったと考えている。今後はこれらの技術を使ったFET素子への応用に向けて研究を加速させたい。
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