2011 Fiscal Year Annual Research Report
超分子オルガノゲルを用いる貴金属ナノ粒子の構造制御ならびに触媒活性
Project/Area Number |
11F01346
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
君塚 信夫 九州大学, 大学院・工学研究院, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
DUAN Pengfei 九州大学, 大学院・工学研究院, 外国人特別研究員
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Keywords | 一次元金属錯体 / 分子ワイヤー / Zn(II) / 蛍光 / 自己組織化 |
Research Abstract |
一次元金属錯体は、金属種、配位子に応じて一次元電子構造やスピン状態を制御できることから、次世代の分子ワイヤーとして興味を集めている。一方、これらの一次元錯体は、従来、固体中における基本構造モチーフとしてのみ存在し、分子あるいは高分子として取り扱う方法論は確立されていなかった。また、この次元配列制御された一次元錯体に光機能などの新しい機能を付与するための分子デザインは未開拓である。本研究は、脂溶性の複核Zn(II)錯体[Zn_2(μ-O_2CR)_4(RCOO=3,4,5-tridodecyloxybenzoate)]と光官能性の架橋配位子4,4'-di(4-pyridyl)cyanostilbene(4PCS)から一次元錯体を自己組織化させ、様々な溶媒中における一次元構造の形成、構造、動的機能ならびに光機能を明らかにして、新しい多重機能金属錯体システムを開発することを目的としている。 本年度は、まず金属錯体としてZn_2(μ-O_2CR)_4(RCOO=3,4,5-tridodecyloxybenzoate)を合成した。この合成は、ZnCl_2と発光性配位子である3,4,5-tridodecyloxybenzoateを混合することにより得た。この一次元錯体は配位子単独とは異なる発光を示し、一次元錯体に独自の光物性が発現した。この錯体は、DMSOやDMFなどの有機溶媒に可溶であるが、CHCl_3などの低極性有機溶媒に分散させるためには、複核Zn(II)錯体の脂溶性をさらに高める必要があり、現在、その分子設計を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初、キラルなアミノ酸骨格ならびに親水基として単座配位子(カルボキシル基、アミノ基、ピリジン基など)を導入した、新しいボラ型両親媒性化合物を系統的に合成することを目的とした。しかし、来日直後に類似の研究が国際誌に報告されたために、方針変更を行った。新しく分子設計された光機能性金属錯体は、これまでに類例のない多重機能性の金属錯体であり、交付申請書よりも国際的に波及効果の高い研究に結びつく可能性が極めて高い。このことより、当初の計画以上に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
複核Zn(II)錯体の配位子として、より脂溶性の高いDovetail鎖を導入した化合物を新たに合成する。また、配位子にキラリティを導入し、キラリティに応じて右巻きあるいは左巻きの一次元構造を制御する。これにより、光機能性の分子コイルを開発する。また、円偏光二色性スペクトルにより、主鎖のキラリティーを検出するために、側鎖にジアセチレン基を導入する。キラルな一次元構造を光重合により固定し、キラルなポリアセチレン-金属錯体複合体を開発するとともに、配位子の回転に基づく誘電特性を評価する。
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