2012 Fiscal Year Annual Research Report
超分子オルガノゲルを用いる貴金属ナノ粒子の構造制御ならびに触媒活性
Project/Area Number |
11F01346
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
君塚 信夫 九州大学, 大学院・工学研究院, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
DUAN Pengfei 九州大学, 外国人特別研究員
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Keywords | 自己組織化 / 配位高分子 / エネルギー移動 / 可溶化 / 亜鉛錯体 / 成形性 / 分散性 / 超分子 |
Research Abstract |
本研究では、金属イオンと架橋配位子を溶液中で自己組織化させて一次元配位高分子を合成し、その一次元構造内で電子的相関を有する系を構築することを目的とした。 そのような電子的相関を有する一次元構造は機能性材料として注目されているが、通常固体として存在するため溶媒への分散性が悪く、成形性に乏しい。そこで脂溶性のアルキル鎖を導入することで、溶媒に分散しうる新規な機能性一次元金属錯体の創出を試みた。これまでPengfei Duan博士はアルキル鎖を有するカルボキシレート配位子を用いて亜鉛二核錯体を合成し、その二核錯体をピリジル基を有するシアノスチルベンで連結することにより、溶媒に優れた溶解性を示す一次元配位高分子の合成に成功している。さらに、その一次元構造内で亜鉛錯体からシアノスチルベン配位子への蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)を引き起こすことにも成功した。 PengfeiDuan博士はこの一年間で、新しい可溶性一次元配位高分子を設計してその合成に成功し、更にその配位高分子内でのエネルギー移動を達成しており、順調に研究が進んでいる。 得られた一次元配位高分子のクロロホルム中での蛍光スペクトル測定を行ったところ、亜鉛二核錯体のみの蛍光よりはレッドシフトし、亜鉛二核錯体からシアノスチルベン配位子(4PCS)へのエネルギー移動が示唆されたものの、部分的なものであると推測される。これはクロロホルムへの溶解性が高すぎるため、亜鉛錯体と4PCSのピリジン部位との相互作用が弱いためと考えられる。しかし、溶媒をメチルシクロヘキサンに変えたところ、亜鉛錯体から4PCSへのエネルギー移動(FRET)が高効率で起き、4PCSからの発光が観測されることが分かった。これは非極性溶媒中で亜鉛錯体と4PCSとの距離が非常に近くなっており、高効率のエネルギー移動が起きたためと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
新しい可溶性一次元配位高分子を合成し、更にその甲で高効率のエネルギー移動を達成した。これは配位高分子を溶液で扱い、更にエネルギー移動を利用した機能性光材料を構築する方法論を提供するものであり、高く評価できる。また得られた結果は国際誌に投稿する準備を進めており、順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はこれまでに経験のない新しい合成、物性開拓のテーマに取り組む予定である。特にこれまで確立した可溶性配位高分子に光刺激応答性を付与することで、これまでにないスマートな配位高分子を合成・評価していく。
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