2012 Fiscal Year Annual Research Report
単一カイラリティ実現に向けたカーボンナノチューブの構造制御に関する研究
Project/Area Number |
11F01354
|
Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
丸山 隆浩 名城大学, 理工学部・応用化学科, 教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
GHOSH Ranajit 名城大学, 理工学部・応用化学科, 外国人特別研究員
|
Keywords | カーボンナノチューブ / 触媒 / 化学気相成長 / グラフェン / グラファイト |
Research Abstract |
本年度は、単一カイラリティを有する単層カーボンナノチューブ(SWNT)実現に向け、高真空アルコールガスソース法を用いて成長実験を行った。カイラリティの単一化に向け、高融点金属であるPtナノ粒子を触媒として用い、グラファイト基板上に担持させて、エタノールガスを照射することによりSWNTの成長を試みた。昨年度の研究から、未処理のグラファイト上にPt触媒を堆積させた場合、SWNTがほとんど成長しないことがわかっているため、グラファイト表面に対し、予め化学処理を行って触媒が担持されやすいように表面改質を行った。エタノールの成長圧力をSi基板を用いたときと同様、エタノール圧力10-4Pa、成長温度700℃でSWNTの成長を行ったところ、グラファイト表面の一部にSWNTが生成している様子がみられた。透過電子顕微鏡(TEM)観察とラマン分光測定によりSWNTの評価を行った結果、生成したSWNTのほとんどが直径1.1nm以下と、非常に細く、また直径分布幅も狭いことがわかった。この結果は、我々の期待どおりPt触媒が直径とカイラリティの均一化に有効であることを示すものである。また、興味深いことに、SWNTと同時にグラフェンも形成されており、グラファイト基板上にSWNTとグラフェンの複合体が成長している様子が観察された。SWNTとグラフェンの複合体がこのような状態で同時に成長したという報告はこれまでに無いことから、新たなメカニズムによるS職T成長が生じている可能性がある。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は化学処理を行うことにより、グラファイト基板上のPt触媒からの単層カーボンナノチューブ (SWNT)成長を実現することができた。Ptクラスター触媒を用いての実験は行うことができなかったが、電子ビーム蒸着により作製したPt触媒を用いても、非常に直径の細いSWNTが生成し、カイラリティの単一化に一歩近づいたと考えられる。また、本研究の目的とは少し異なるが、SWNTとグラフェンの複合体の同時形成が生じることも明らかとなり、SWNT成長の点でも興味深い結果が得られたと考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
Pt触媒を用いることにより、グラファイト基板上にカイラリティ分布幅の狭い、単層カーボンナノチューブ(SWNT)を生成することができたため、今後は、成長条件を工夫することにより、さらなる均一化を目指し、最終的には単一カイラリティのSWNT生成の実現に向けて研究を進めていく。また、グラフェンとSWNTの複合体構造の生成メカニズムについても調べていく予定である。
|
Research Products
(7 results)