2011 Fiscal Year Annual Research Report
炭化ケイ素を用いた高品質窒化物半導体によるシリコン基板上短波長半導体レーザの実現
Project/Area Number |
11F01357
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
平松 和政 三重大学, 大学院・工学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
FANG H. 三重大学, 大学院・工学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 3C-SiC / Si基板 / AlN中間 / 圧縮応力 / 転位密度 |
Research Abstract |
本研究では、Si基板上にGaN系短波長半導体レーザを実現することが目標である。この目標達成のために、本年度は、Si基板上に3C-SiC中間層を用いて低転位かつクラックフリーの高品質GaNの作製をMOVPE法により行った。3C-SiC緩衝層はSi基板上GaN成長において,Gaのメルトバックエッチングを防ぎ,高品質なGaNを得るのに有効である。 しかし,3C-SiCとSiには22%の格子不整合と22.5%の熱膨張係数差があり,膜厚1μm以上のGaN成長を行うとクラックが発生する問題がある。そのため,3C-SiC/Si基板上GaN成長においてAlN中間層を挿入し,GaN成長で生じる応力を緩和することを考え、本研究では,GaN成長時のAlN中間層挿入の効果を明らかにした。 Si上に3C-SiCを堆積させた基板を用いて,減圧MOVPE法によりAlN中間層の成長条件を変えながら、GaNを0.5-4μm成長させた。CL波長分布像と成長のその場観察より,上層のGaNでは、SiC界面付近に比べ成長後の冷却による引張り応力が働くことがわかった。また、断面TEM像より,AlN中間層が転位の伝搬を防いで,その密度は界面付近に比べて表面層では5.0×10^8cm^<-2>まで減少した。 さらに高品質な結晶を得るために、GaNの2段階成長を試みた。最初にV/III比を565にして結晶成長を行い、次に、V/III比を4522にして結晶成長を行った。V/III比を変えることで、3次元成長から、2次元成長にきりかえた。従って、粒子が合体することで、転位密度が減少した。この方法を用いることで、(004)面と(102)面のX線ロッキングカーブの半値幅が、それぞれ643.5sと671.1sに減少した。 以上の結果よりAlN中間層は,GaN成長時における圧縮応力を生じさせることに加えて,転位密度の低減に有効であることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
低温AlN中間層と2段階GaN成長法により、3C-SiC/Si基板上GaNの高品質化を達成できたため。また、(004)面と(102)面のX線ロッキングカーブの半値幅が、643.5sと671-1sに低減でき、低温AlN中間層がSi基板上GaNの応力緩和に有効であることも明らかにしたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、2段階成長に続き、更なる高品質化を目指し、次のことを行う。 (1)選択横方向成長。フォトリソグラフィで溝構造を作製し、これに結晶成長を行う。 (2)傾斜組成のAlGaNバッファ層。AlNバッファ層とGaNエピタキシャル層の間にAlGaN組成傾斜層を挿入して、転位密度が減少できることが報告されている。
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Research Products
(6 results)