2012 Fiscal Year Annual Research Report
炭化ケイ素を用いた高品質窒化物半導体によるシリコン基板上短波長半導体レーザーの実現
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11F01357
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
平松 和政 三重大学, 大学院・工学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
FANG H. 三重大学, 大学院・工学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 3C-SiC / Si基板 / マスクレスELO / 発光特性 / 欠陥密度 |
Research Abstract |
本研究では、Si基板上にGaN系短波長半導体レーザを実現することが目標である。この目標達成のために、本年度は、SiC/Si基板上成長したGaNの結晶品質を更に向上させるためのマスクレスエピタキシャル横方向成長(ELO)を行った。3C-SiC基板上にGaNの核ができにくい特徴を利用し、3C-SiC/Si基板上にGaNエピタキシーのマスクレスELOを実現した。成長の初期に、まばらにAlN核が3C-SiC/Si基板の表面上に成長した。この低密度のAlN核は、島状GaN成長のグレインとなる。GaNエピ層のモザイク粒径サイズは、長い時間かけてGaN結晶の島同士の合体によって大きくなった。結果として、高品質のGaNエピ層を得ることができ、(004)、(102)、(100)面回折X線ロッキングカーブ(XRCs)の半値幅(FWHM)はそれぞれ496、523、538arcsecであった。また、室温CL測定によりGaNエピ層の発の強度が50倍増加し、ピーク半値幅の減少が確認された。それはマスクレスELOにより欠陥低減していると考えられる。 さらに、SiC層の厚さによるGaNエピ層の結晶性への影響について研究を行った。SiC/Si界面から生じる高密度の欠陥が観察された。3C-SiC層の欠陥密度は成長SiC層の成長に伴って減少した。SiC層の欠陥のほとんどは、SiC/Si界面から500nmに集中している。マスクレスELOを通じて、GaNエピ層はSiC層の欠陥に左右されずに成長できる。以上の結果から、高い欠陥密度を有している薄いSiC層(500m以下)基板上の成長したGaN層でも、高品質な結晶を得ることができた。また、以上のSiCの厚さ依存性の成果より、工業生産のためのマスクレスELO成長法の効果を確認することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在のSiclSi基板上に成長したGaN薄膜の結晶品質は、窒化物系LEDや、高周波高出力デバイスなどに適しているが、現在ではレーザーダイオードデバイス構造に適していない。さらなる研究により結晶品質を改善することが、Si基板上にGaN系半導体レーザを実現するために必要とされる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、2段階成長に続き、更なる高品質化を目指し、次のことを行う。選択横方向成長。フォトリソグラフィで溝構造を作製し、これに結晶成長を行う。 また、Si基板上に成長したAlGaN/GaNの構造は、高電子移動度トランジスタ(HEMT)など、レーザだけでなく電子デバイス等に広く応用できる。現在のGaN品質は、電子デバイス応用には十分な品質であるので、AlGaN/GaNHEMTデバイス構造による特性評価によって、Si基板上GaNの品質を確認することができる。
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Research Products
(7 results)