2012 Fiscal Year Annual Research Report
人工心臓内の血栓のリスク分析と同定のための血液モニタリングシステムの開発
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11F01360
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
武居 昌宏 千葉大学, 大学院・工学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SAPKOTA Achyut 千葉大学, 大学院・工学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 流体工学 / 混相流 / トモグラフィー / 可視化 / 人工臓器 / 血栓 |
Research Abstract |
人工心臓は1969年に米国で臨床試験が初めて行われて以来、大型な拍動式の第一世代から、接触回転式の第2世代を経て、現在は,第3世代の小型非接触回転式が主流となっている。この第3世代の人工心臓は、日本の機械工学分野が得意とする非接触軸受け技術により、現在臨床応用段階であり、在宅治療ができるまでの技術に成長している。しかしながら、人工心臓の最大の問題点は血栓と溶血が生じやすい点にあり、在宅治療を受ける患者の命綱は、血栓と溶血を検知する赤血球モニタである。世界的な研究を含めても、現在まで人工心臓内の赤血球の可視化計測とモニタリングシステムを開発した例はひとつも存在しない。したがって、血栓溶血メカニズムの解明はなされていない。本研究開発の研究目的は、次の通りである。1年目のフェーズ1(23年度後期、24年度前期)においては、血液流動中のタンパク質、血流速度および赤血球濃度による電気的特性の変化を検討する。フェーズ1の結果に基づいて2年目の,フェーズ2(24年度後期、25年度前期)では、プロセス・インピーダンス・スペクトロスコピー・トモグラフィー(PIST)法を用いた血液モニタリングシステムを開発する。同システムの適用性を検討するためにウシの血液を利用し体外模擬流路を用いて実験を行う。 本年度は、血液成分でのタンパク質および赤血球濃度と血液凝固の関係を検討した。詳細には、(5)血流速度と凝固の関係を検討した。(主な実験条件:流速を変える、凝固時間と大きさを検討する。)(6)血流速度、主なタンパク質および赤血球濃度による血液の電気的特性の変化を検討した。(7)データ解析((1)から(6)までのデータ)に基づき、システム開発フェーズの計画。(8)プロセス・インピーダンス・スペクトロスコピー・トモグラフィー(PIST)法を用いた血液モニタリングシステムの設計および開発(複数の周波数で同時に計測できるシステム)。(9)PISTシステムの適用性を検討するためにウシの血液を利用し体外模擬流路を用いて実験を行った。タンパク質、赤血球濃度などの血液の成分による変化の反応を検討した。(5)~(6)、(9)のいずれも多種のウシの血液を利用して行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度の結果に基づいて、プロセス・インピーダンス・スペクトロスコピー・トモグラフィー(PIST)法を用いた血液モニタリングシステムの開発を行えた。また、同システムの適用性を検討するためにウシの血液を利用し体外模擬流路を用いた実験も行えた。
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Strategy for Future Research Activity |
元計画の通り動物の血液を利用して体外実験を行った。しかし、システムの実用化に向けては動物実験を実施し、体内(in-vivo)での反応は調べることが必要である。また、微少血栓を精度よくはかるためには電気パラメタの微少的な変化を正確に測れるような計測技術が必要である。
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