2012 Fiscal Year Annual Research Report
ビスマスチオフェート材料の光電気化学および光触媒特性の研究
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11F01377
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
堂免 一成 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
PAN Chengsi 東京大学, 大学院・工学系研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 光触媒 / 水分解 / オキシナイトライド / ドーピング / 助触媒 / 可視光 / ペロブスカイト / バンドギャップ |
Research Abstract |
平成24年度は、遷移金属酸窒化物をベースとし、可視光照射下において水の完全分解を達成するための研究を行った。主に対象とした物質は、ペロブスカイト構造を有する遷移金属オキシナイトライドであるLaTaON2という組成の化合物である。この物質はバンドギャップが2eV程度であり、この物質を用いて水分解が実現できれば、利用可能な波長領域がこれまでよりさらに100nm程度延びる。このLaTaON2という化合物は単味では水分解反応は進行しない。本研究での主な改善的なアプローチは異元素導入による物性変調と助触媒との組み合わせによる高機能化である。異元素導入による高活性化の手法として検討したのはMgのドーピングによる高活性化である。MgはTaとイオン半径が近く、Ta5+サイトを同型置換することができる。Ta5+サイトの一部をMg2+で置換すると、カチオン成分の電荷の差を補償するために、N3-が02-に一部置き換わりLaTa1-xMgxO2+3xN1-3xの一般組成で表される一連の化合物を得ることができた。特にxが1/3のときに、高活性であった。さらにRh-Cr複合酸化物を担持することにより、可視光照射下で水素と酸素が同時に生成することが確認できた。遷移金属をベースとしたオキシナイトライドでバンドギャップが2eV程度のものを用いて可視光照射により水素と酸素の同時生成が進行したのは初めての例である。現時点では、水素と酸素に加え、窒素の生成も見られる。これは、触媒の分解が部分的に起こっているということであり、これを抑制することが、安定かつ高活性に水分解を進行させるために解決すべき課題となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
バンドギャップが小さい化合物において可視光で水分解を行うことは、最も困難であり、挑戦的な課題である。当研究者は、当初の予定より難易度の高い課題を設定し、それを当該年度の研究で、ほぼ解決する段階まで進展させた。この進展によって近いうちに大きなブレークスルーが期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
本課題を効率的に進めるために、光触媒による水分解に関して十分な知見を有する以前からの共同研究者のもとに客員研究者として配置させ、密なディスカッションの基に充実した研究を進める環境にした。そこでは、一人あたりの実験装置やスペースが多いために、短期間で効率よく成果が出せると期待できる。1年以内に研究成果を国内外に広く発表していく予定である。
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Research Products
(1 results)