2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11F01379
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中島 秀紀 九州大学, 総合理工学研究院, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
DEY Indranuj 九州大学, 総合理工学研究院, 外国人特別研究員
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Keywords | イオンエンジン / 中和器 / マイクロ波 |
Research Abstract |
当研究室においては、従来から、小型イオンエンジンを開発して来た。この小型イオンエンジンでは、マイクロ波による電子サイクロトロン共鳴(ECR)加熱によりプラズマを無電極で生成出来る。このため、エンジンの長寿命化が期待でき、小型衛星の軌道修正、或は、「はやぶさ」に代表される惑星探査に応用可能である。エンジン本体としては、世界最高の性能を誇るものの、エンジンと一体となって運転される中和器(電子源)の開発は遅れ、いまだその性能は十分なものではない。(必要とされる電流、12mAに対して、現在まで種々のアイデアを試して来たが、6mAを達成しているに過ぎない。)今後、このタイプのイオンエンジンの実用化・商用化のためには、何としても中和器の性能を向上させる必要がある。 今回の研究員候補者は、マイクロ波放電に関する知見を豊富に持っているので、彼と共同研究することにより、中和器の性能向上が大いに期待できる。具体的には、磁場配位を従来の軸方向ミラー磁場から、径方向カスプ磁場配位に変更することで、電子の壁への損失を軽減させ、引き出し電流量を増大させることが可能であると考えられる。 更に、このカスプ磁場配位をイオンエンジン本体の方にも適用すると、更にイオンエンジン本体の方も性能が向上することが期待される。例えば、この配位では、生成されるイオンは、速度の半径方向成分が小さいので、引き出しグリッドの損傷が押さえられ、グリッドの長寿命化が期待される。 マイクロ波は、アンテナを通して供給されている。この体系は、波とプラズマの相互作用という物理的にも興味深い現象を利用する。このため、本研究は、イオンエンジンの実用化だけでなく、プラズマの基礎学理の発展にも貢献すると考えられ、普遍性を持っている。 以上、要するに、共同研究により、小型イオンエンジンシステム、特に中和器の性能向上が計られ(引き出し電流を増大させ)、実用化・商用化で世界を更にリードすることが期待出来る。また、成果を共有することにより、インドでのイオンエンジンの開発にも貢献する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
中和器を設計し、必要部品を発注する等、本研究室での研究環境に馴染んで来た。また、実際に、設計・試作した中和器を用いて実験を行い、電子電流の引き出しに成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
中和器の性能向上(電子電流の増大化)のために、磁場配位を工夫していくつもりである。また、マイクロ波-プラズマ相互作用のための数値シミュレーションコードについても、理解を深め、改良を施す予定である。
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