2012 Fiscal Year Annual Research Report
殺蚊蛋白質Cry4Aaの受容体認識機構の解明と新規特性を備えた殺虫蛋白質の開発
Project/Area Number |
11F01392
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
世良 貴史 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
HOWLADER M.T.H. 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | Bacillus thuringiensis / Cry4Aa / Culex pipiens / 糖鎖 / QCMデバイス / 受容体結合 / 蚊 |
Research Abstract |
殺蚊トキシンCry4Aaは3つのドメイン(ドメインI~III)で構成され、他の多くのCryトキシンと非常に類似した構造を持つ。しかし、多くのCryトキシンで分子表面に露出するドメインIIのループ構造が受容体結合に関与するのに対し、Cry4Aaのループ構造は他の配列に置換できる。Cry4Aaの受容体結合にはドメインH以外の構造、もしくは複数のループ構造が相互補完的/協調的に働く可能性が考えられる。 本年度はCry4Aaと標的組織(刷子縁膜、BBM)の相互作用を詳しく解析する目的で、Cry4AaのドメインIIのループ構造を含む6種類のポリペプチド(β1-α8(E^<325>~T^<354>),β2-β3(T^<361>~H^<388>),β4-β5(Q^<396>~G^<414>),β6-β7(I^<419>~I^<447>),β8-β9(K^<456>~G^<475>),β10-β11(H^<499>~H^<524>)とドメインIII(S^<525>~Q^<695>)を生産し、それらとアカイエカ幼虫のBBMから抽出した膜タンパク質間の相互作用を解析した。 水晶発振子マイクロバランス(QCM)デバイスを用いた親和性解析の結果、β1-α8及びβ2-β3、ドメインIIIポリペプチドはCry4Aaに匹敵する高い結合親和性をBBMに示した。β1-α8及びβ2-β3はループα8及びループ1を含み、これらは置換可能な構造であるものの、受容体結合に何らかの役割を持つ可能性が考えられた。またCry4AaのドメインIIIには糖(糖鎖)と結合可能な構造があり、ドメインIIIがBBMに示す高い親和性は、タンパク質糖鎖を介した結合である可能性が考えられた。そこで様々な糖で処理したCry4Aaを用いてバイオアッセイを行った結果、GalNAc処理はCry4Aaの殺虫活性の促進し、Fucose処理は阻害することが示唆された。Cry4Aaにはレクチン様活性があり、それが殺虫活性に関与している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、Cry4Aaの推定上の受容体結合部位(ドメインII及びIII)を含むポリペプチドを生産し、アカイエカ(Culex pipiens)幼虫中腸刷子縁膜に由来する膜タンパク質との相互作用を解析した。その結果、特に高い結合親和性を示す構造(β1-α8及びβ2-β3、ドメインIII)が特定できた。これはCry4Aaの受容体認識機構の解明につながる重要な知見である。
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Strategy for Future Research Activity |
分子間相互作用解析の成果から、アカイエカ幼虫の標的組織膜(BBM)への結合に関与するCry4Aaの機能構造の候補(β1-α8及びβ2-β3、ドメインIII)が特定できた。今後はこれらの構造に注目して解析を進め、受容体認識機構の解明につなげる。特にドメインIIIポリペプチドがアカイエカ幼虫BBMに高い結合親和性を示したことは興味深く、Cry4Aaのレクチン活性及び、それとCry4Aaの受容体認識機構の関連について詳細に解析する。
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Research Products
(2 results)