2011 Fiscal Year Annual Research Report
二枚貝の配偶子成熟における性ステロイド、セロトニン、Ca2+の作用機構
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11F01404
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
尾定 誠 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ALAVI Sayyed 東北大学, 大学院・農学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 精子 / カルシウムイオン / 生殖内分泌 |
Research Abstract |
1)海産二枚貝の精子運動能活性化の評価のための実験条件の検討 精子運動能を解析するシステムを用い、通常の人工海水中でセロトニンやアンモニアで活性化されたアサリ精子運動能が数時間以上維持されることが明らかになり、実験条件を決定した。 2)海産二枚貝の精子運動能活性化と抑制調節 セロトニンやアンモニアによるアサリ精子の活性化は外部カルシウム依存性であり、カルシウム存在下でも見られる組み換えOMAFによる強い精子運動抑制作用は、カルシウムチャンネルを介した抑制機構の存在によることを示唆した。しかし、Tタイプカルシウムチャンネルブロッカー(ミベフラジル)による強い精子運動活性化に対する抑制作用が見られたが、細胞内カルシウムは組み換えOMAFと同じ挙動は認められず、OMAFが抑制的に働くカルシウムチャンネルの特定には至らなかった。 3)精子運動活性化に対する性ステロイドの影響 テストステロンやエストラジオールによるホタテガイ精巣組織の処理によって、セロトニンによる精子運動活性化を強く促進した。このことは性ステロイドによる精子の成熟もしくは活性化を示唆している。まだ未着手のホタテガイのアンドロゲン受容体(AR)のPCRクローニングを開始し、いくつかの候補断片を得ることができた。今後、配列確認と伸長反応による一次構造解析を進めたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
精子運動を安定して観察できる条件が得られた。ただし、人工海水中で完全に停止状態におく詳細な条件を今後詰める。精子運動活性化におけるカルシウムイオンチャンネルを介した外部カルシウムの取り込みの必要性が明らかにできた。加えて、ステロイドホルモンによる精子活性化に対する促進調節の存在を示すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
精子運動活性化と同時に、新たに、先体反応の活性化もセロトニンによって認められ、それらに関わる内分泌調節を新たに明らかにする。さらに、先体反応に関わる分子の同定とそれらとの関わりへも展開する計画でいる。 さらに、精子運動活性化の促進と抑制調節の相互関連を組み換えタンパクを併用しながら解析し、二枚貝類の精子運動活性化に対する生殖内分泌による調節メカニズムを明らかにする。
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Research Products
(1 results)