2012 Fiscal Year Annual Research Report
二枚貝の配偶子成熟における性ステロイド、セロトニン、Ca2+の作用機構
Project/Area Number |
11F01404
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
尾定 誠 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ALAVI S 東北大学, 大学院・農学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 二枚貝類 / 精子 / セロトニン / カルシウムイオン / ナトリウムイオン / OMAF / 先体 |
Research Abstract |
1)海産二枚貝類の精子活性化に関わる化学的環境 精巣内と精漿内のpHは酸性状態にあることを確認し、酸性条件下では精子は休止状態にあり、種によってセロトニンやアンモニアによって活性化されるものとされないものがあった。しかし共通してセロトニンによる活性化は外部カルシウムに依存していることは明らかであった。さらに、細胞外のNa+の存在が不可欠であることも明らかになった。 2)海産二枚貝類の精子活性化におけるOMAFの役割 卵成熟休止因子0MAF(Oocyte Maturation Arresting Factor)はセロトニンによる精子活性化および精子運動を抑制した。セロトニンによる精子頭部のCa2+オシレーションの誘導は、EGTA存在下と同様に組換えOMAF存在下で強く抑制されていた。このことは、OMAFがセロトニンに依存した外部からのCa2+流入を阻害することで精子活性化および精子運動を抑制したことを示唆しており、精子のカルシウムイオンチャンネルを介した反応であると考えられた。 3)精子成熟の指標となる遺伝子の同定 マガキESTデータベースから哺乳類・ウニ類・原索動物の先体に局在するピアルロニダーゼとアクロシンに相同の配列を検索した。候補断片の相同性検索から、マガキのビアルロニダーゼとアクロシンと推定された。IUCE法による伸長によって完全長の獲得を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
精巣内精子が二枚貝類でも酸性状態下で不活性化しており、その活性化にセロトニンがカルシウムやナトリウムと協同して関わり、さらに、精巣内での抑制調節にはOMAFによる外部カルシウムイオンの流入阻害が働いていることを明らかにした。また、精巣内での精子成熟にかかわる先体に局在する分子の同定に着手した。
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Strategy for Future Research Activity |
セロトニンに依存した精子活性化の細胞内シグナルカスケードを明らかにするために、セロトニン受容体が局在する原形質膜を除去した精子の調整とそれを使ったカルシウムやcAMPによる軸糸タンパク質の振動解析を行う予定である。また、候補断片が得られたピアルロニダーゼとアクロシンの完全長を得ることで、これらの先体局在性とこれらの発現と精子成熟との関係を明らかにする予定である。
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