2012 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロRNA制御異常を介した筋萎縮性側索硬化症発症病態の解明
Project/Area Number |
11F01413
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
河原 行郎 大阪大学, 医学系研究科, 特任准教授(常勤)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LI Quan 大阪大学, 医学系研究科, 外国人特別研究員
|
Keywords | 脳神経疾患 / RNA / 筋萎縮性側索硬化症 / 痴呆 / 遺伝子 |
Research Abstract |
筋萎縮性側索硬化症(ALS)の発症メカニズム解明のため、病態と深く関連するRNA結合蛋白質TDP-43によるマイクロRNA制御機能に着目して研究を開始した。前年度から引き続き、直接的にTDP-43に結合するマイクロRNA前駆体を同定するべく、培養細胞を用いてPAR-CLIP法の樹立と、その後の情報解析手法の構築を目指した。これまでに作製したライブラリーを用いて3回deep sequenceを行い、使用するRNaseの種類、濃度やRNAの長さなどが影響することが明らかになった。これらの結果を踏まえて、再度ライブラリーを構築しdeep sequenceした結果、TDP-43の結合モチーフなど予想された結果が得られるようになった。詳細に情報解析した結果、TDP-43が結合するRNAには、マイクロRNA前駆体も相当量含まれていることが判明した。 現在、その種類や量について更に解析を進めているが、基本的にはシーケンス後の情報解析が研究室内で完遂できる体制を構築することができた。また、同時にALSで同定されている遺伝子変異の入ったTDP-43についても、PAR-CLIPを行ったので、結合するRNAが野生型と比較してどのような差異があるのかを明らかにする予定をしている。更に最終年度は、その結果をもとに、ALSモデルマウスを材料としてCLIP法を実施し、脊髄中でTDP-43が直接制御するマイクロRNAの同定を目指す予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
PAR-CLIP法を用いたTDP-43に結合するRNA断片の安定的な回収法とライブラリーの構築が、培養細胞を用いてできるようになった。また、deepsequence後の情報解析が研究室内でできる体制の構築も完了し、TDP-43に結合するRNAの特性が分かるようになった。この中には、TDP-43が直接結合しているマイクロRNA前駆体も含まれており、現在解析を更に進めている。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在、培養細胞を用いてTDP-43が直接制御するマイクロRNAの種類や特性などを解析中である。またALSで認められる遺伝子変異がRNAへの結合に及ぼす影響についても併せて解析を進める。来年度はその結果をもとに、ALSモデルマウスを材料として脊髄中でTDP-43が直接制御するマイクロRNAの同定を目指し、それらマイクロRNAの運動ニューロン変性への関与を解析する予定である。
|