2013 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロRNA制御異常を介した筋萎縮性側索硬化症発症病態の解明
Project/Area Number |
11F01413
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
河原 行郎 大阪大学, 医学系研究科, 准教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LI Quan 大阪大学, 医学系研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 脳神経疾患 / RNA / 筋萎縮性側索硬化症 / 痴呆 |
Research Abstract |
筋萎縮性側索硬化症(ALS)の発症メカニズム解明のため、病態と深く関連するRNA結合蛋白質TDP-43によるマイクロRNA制御機能に着目して研究を開始した。前年度までに、直接的にTDP-43に結合するマイクロRNA前駆体を同定するべく、培養細胞(HEK293T)を用いたPAR-CLIP法の樹立と、その後の情報解析手法を構築した。今年度は、実際にTDP-43ともう一つのALS関連RNA結合蛋白質であるFUSに対してPAR-CLIP法を施行し、標的RNAを網羅的に解析した。その結果、TDP-43およびFUSに結合する標的RNA、結合モチーフなどを決定することに成功した。TDP-43はイントロンに最も多く結合していたが、FUSは3'UTRやcoding regionsにより多く結合していた。全体としてHEK293T細胞では、TDP-43の結合しているマイクロRNA前駆体は、ごく少数であった。TDP-43は、(UG)nの比較的長い繰り返し配列に強く結合したが、FUSはGGU配列に弱い結合傾向を認めるのみであった。TDP-43及びFUSが制御する遺伝子のうち、25~50%程度の遺伝子は両者による制御下にあると考えられた。最後1に、家族性ALSで同定されている遺伝子点変異によるアミノ酸置換が、RNA結合能に影響するかどうかを評価した。その結果、D169G, G348Sのいずれの点変異を挿入した場合でも、モチーフは変動せず、さらに制御される遺伝子の95%以上が一致した。この結果から、点変異は結合RNAのプロファイルには影響しないと考えられた。以上、ALSに関連するTDP-43およびFUSの標的を網羅的に決定し、その性状を詳しく明らかにした。用いた培養細胞においては、TDP-43が直接結合するマイクロRNA前駆体はごく少数であったが、今後モデル動物を用いて更に解析を進める必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
(抄録なし)
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Research Products
(6 results)