2011 Fiscal Year Annual Research Report
次世代核酸医薬の細胞内デリバリーのためのナノキャリアの開発
Project/Area Number |
11F01510
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
花方 信孝 独立行政法人物質・材料研究機構, ナノテクノロジー融合ステーション, ステーション長
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
CHEN Song (独)物質・材料研究機構, ナノテクノロジー融合ステーション, 外国人特別研究員
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Keywords | ナノ粒子 / キトサン / 核酸医薬 / デリバリーシステム |
Research Abstract |
本研究は、生体分子であるキトサンと無機材料のハイブリッドナノ粒子を開発し、日:本人の代表的なアレルギー疾患である花粉症の予防および治療のための核酸医薬デリバリーに利用することを目的としている。当該年度は、キトサンの脱アセチル化度と分子量が核酸医薬であるCpGオリゴデオキシヌクレオチドのデリバリーに及ぼす影響について調べた。その結果、脱アセチル化度が98%の方が80%よりもCpGオリゴヌクレオチドの結合量が大きいことがわかった。これは、脱アセチル化度がが大きいと、アミノ基が多くなり、マイナスに荷電した核酸分子との結合を促進するためと考えられた。また、インターフェロンの誘導量は、結合したCpGオリゴヌクレオチドの量にほぼ比例していた。一方、キトサンの分子量が大きくなるとCpGオリゴヌクレオチドの結合量は多くなるが、インターフェロン誘導量は逆に減少した。この原因については、現在、不明であるが、キトサンの分子量の増加に依存した粘性、硬さ、結合力などが、CpGオリゴヌクレオチドの受容体であるToll-like receptor 9との相互作用に影響を及ぼしている可能性がある。これらは、当初、想定し得なかった現象であるが、非常に興味深い現象でもあるので、今後の解決するべき課題であると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度は、半年以下の期間しかなかったが、キトサンのデリバリーへの応用に関して、概ね当初の計画通りに達成されたと考えている。また、当該年度の研究において、予想し得なかった新たな課題も浮上した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、平成23年度で得られた知見をもとに、キトサンとシリカあるいはシリコン等のナノ粒子との複合体形成し、TLR9との相互作用機序についての解析を行うとともに、ナノ粒子の最適化条件等について検討する予定である。キトサンとナノ粒子の複合体の細胞内での挙動を解析するために、シリコシ量子ドットを合成し、量子ドットから得られる蛍光からTLR9との相互作用機序についてのアプローチを行う。
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