2012 Fiscal Year Annual Research Report
循環器疾患における圧反射異常の神経性メカニズムの解明とその医工学的治療応用
Project/Area Number |
11F01705
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
杉町 勝 独立行政法人国立循環器病研究センター, 研究所, 部長
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
TURNER M.J. 独立行政法人国立循環器病研究センター, 研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 動脈圧反射 / 大動脈減圧神経 / レシニフィラトキシン / 交感神経活動 / 血圧調節 / システム解析 / 白色雑音 |
Research Abstract |
本研究は自律神経系に介入して心不全や高血圧等の循環器疾患を治療する医工学的治療に関して、動脈圧受容器から自律神経中枢への求心路を構成する有髄A線維と無髄C線維が交感神経性の血圧調節に果たす役割や、種々の病態における各線維の変化について、システム工学的な方法論を用いて解明することを目的とする。 本年度は麻酔下ラットにおいて実験を行い、低電圧高頻度の電気刺激では主にA線維、高電圧低頻度の電気刺激では主にC線維を介して交感神経が調節されることを、選択的なC線維の薬理的遮断実験と組み合わせて証明した。次に、低電圧高頻度刺激(A線維主体の刺激)では交感神経活動の抑制と体血圧の低下が30秒間持続しないのに対して、高電圧低頻度刺激(C線維主体の刺激)では交感神経活動の抑制と体血圧の低下がより長く持続することを明らかにした。また、この刺激方法を二値白色雑音と組み合わせることにより、A線維の中枢経路の動的特性と、C線維の中枢経路の動的特性を個別に定量化した。その結果、A線維の中枢特性は、0.1~1Hzにかけて入力の変調周波数が高くなるほど調節ゲインが大きくなる微分特性を示し、0.01Hzの変調周波数では小さな調節ゲインしか示さなかった。これに対して、C線維の中枢特性は周波数依存的な調節ゲインの変化が小さく、全体として弱い微分特性しか示さなかった。 これまでに、A線維とC線維の圧受容器における発火特性の違いに関する報告はあったが、中枢経路の違いについてはほとんど知られていなかった。本研究結果より、動脈圧反射による長期の交感神経活動抑制と血圧低下には、A線維よりもC線維を介する中枢経路が重要な役割を果たしていることが明らかとなった。圧受容器反射を利用した降圧治療においてはA線維よりもC線維を標的として刺激条件を調節することが重要と考えられる。
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Research Products
(5 results)