2011 Fiscal Year Annual Research Report
ギニアにおけるヒト-チンパンジー関係の比較民族誌と生態学
Project/Area Number |
11F01712
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山越 言 京都大学, 大学院・アジア・アフリカ地域研究研究科, 准教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LEBLAN V.J. 京都大学, 大学院・アジア・アフリカ地域研究研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | GIS / 民族誌 / 野生動物 / アブラヤシ / 自然保護区 / 西アフリカ |
Research Abstract |
動物相の多様性が際立つ熱帯の発展途上国地域では、人口の増加と経済活動の活発化によって、人間活動を排除した自然保護区面積の増加は困難となり、人間活動と動物保全を同一の環境下で達成することが求められている。西アフリカ・ギニア共和国は、保護区行政が未整備にもかかわらず、豊富な動物相が存在することが知られ、人と動物の共存関係を探るには恰好の調査地域である。本研究課題では、環境面で対称的なギニアの西部海岸域と東南部森林域におけるチンパンジーの生息状況を比較することを目的とする。23年度は、まず地理情報の解析システムのセットアップに努めた。また、国内の関係研究者と密に研究連絡を行い、さらに、国内で開催された複数の国際ワークショップに参加し、研究計画のアイデアを熟成した。そのような交流の中で、野生・飼育チンパンジーに対する興味深い日欧米間の研究アプローチの文化差に関する仮説を精緻化することができた。また、ギニア共和国の旧宗主国であるフランスを訪問し、植民地期の古文書やさまざまな生態学的文献が豊富なパリ自然史博物館等において、研究対象地域であるギニア西部海岸域、東南部森林域に関する綿密な文献収集を行い、さまざまな有益な希少文献を見つけることができた。さらに、ギニア西部海岸域におけるフィールド調査を行い、植生分布、農業形態、及び動物相に関する基礎的調査を行った。この地域の植生はアブラヤシが高密度で優先し、植生の斉一性が高いが、チンパンジーもこの有用樹に大きく依存している様子が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画に挙げた項目について、ほぼ満遍なく予想した成果を上げることができた。フランスでの文献収集については、予想を上回る情報を収集でき、大きな成果を得ることもできた。
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Strategy for Future Research Activity |
年度末に行ったギニアでのフィールド調査を発展させ、引き続き南部森林地域での比較調査を行う予定である。今年度収集できた文献資料の吟味を行い、植生分布、植生利用、及び動物相の歴史的変化についての分析を進める。
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