2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11F01730
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
中村 昭子 神戸大学, 大学院・理学研究科, 准教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
GUETTLER Carsten 神戸大学, 大学院・理学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 惑星科学 / 小惑星 / 実験 / ブラジルナッツ効果 |
Research Abstract |
本研究の目的は、イトカワのような微小小惑星の表面・内部構造の特徴を説明することである。 表面粒子の粒度偏析はイトカワ表面の大きな特徴のひとつであり、本研究では振動による粒度偏析(ブラジルナッツ効果)を詳しく調べるために、小型の振動容器を製作して通常の地球重力下での予備実験を行った。ついで、異なる重力条件下(10G以上)での実験を行うために、小型の遠心加速装置を設計し、現在製作の最終段階にある。今月中にひととおりの完成の見込みである。 さらに、遠心加速器の製作期間を利用して、小惑星表面の岩塊によるクレーター生成効率の減少効果に関する衝突実験を行った。クレーターは、天体表面への高速度衝突によるものであり、高速度衝突はブラジルナッツ効果の原因となる振動を引き起こすものと考えられている。それゆえ、衝突がどのような振動を励起するかを理解することは重要である。そこで、我々は、異なる粒径からなるガラスビーズ層を標的として、標的構成粒子サイズと弾丸サイズの比を変化させた衝突クレーター実験を行った。その結果、標的構成粒子サイズに比べて弾丸サイズが小さくなるにつれて、クレーターが小さくなることが示された。このことから、標的を構成する粒子サイズと弾丸のサイズ比によって、小惑星内部に伝わる振動波形や強度が異なる可能性、すなわち、ブラジルナッツ効果への影響が示唆される。本結果は、現在、国際的な専門誌に投稿中である(Guettler,Hirata,and Nakamura,submitted)。 これらの実験結果の解釈のためには、まずは2球の接触と衝突の物理過程を理解することが重要であるが、分担研究者らは現在の理論モデルでは実験結果を再現できず、何らかのエネルギー散逸の項が必要であることを示した(Guettler et al,submitted;Krijt,Tielens,Guttler,et al,submitted)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
遅延はおおむね3か月で、理由の1つめは遠心加速装置の複雑な構成のために設計や部品調達に手間取ったこと、2つめは母国語の違いによる意思疎通の困難さによるもの、3つめは工場の混雑等による装置製作の遅れ、である。
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Strategy for Future Research Activity |
遠心加速装置を用いた最初のブラジルナッツ効果実験は5月に開始の予定である。微小重力実験が予算の半減と装置製作の遅れからキャンセルせざるを得ないので、遠心加速装置を用いた実験に集中することになる。微小重力実験の方はブレーメン落下棟あるいは航空機を用いてこの学振特別研究員の期間後に行うことになる見込みである。加速センサーを用いた衝突起源の振動の測定も近ぢか開始の予定である。2球の接触と衝突の物理の研究は現在進行中であり、今後DEMを用いた数値シミュレーションに反映していく予定である。
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[Journal Article] Planetesimal formation by sweep-up : how the bouncing barrier can be beneficial to growth2012
Author(s)
Windmark, F., Birnstiel, T., Guttler, C., Blum, J., Dullemond, C.P, 、Henning, Th.
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Journal Title
Astronomy & Astrophysics
Volume: 540
Pages: 73
DOI
Peer Reviewed
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