2011 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト女性乳癌における男性ホルモン、アンドロゲンの局所産生と作用機序の解明
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11F01735
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
笹野 公伸 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MCNAMARA Keely 東北大学, 大学院・医学系研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | Triple Negative Breast Cancer / アンドロゲン / 受容体 |
Research Abstract |
乳癌多くの症例でエストロゲン受容体/プロゲステロン受容体の発現が認められ、エストロゲン依存性の増殖を示す。従って、抗エストロゲン阻害剤が治療薬として用いられる。また、HER2陽性症例についても同様にその阻害剤が効果を示す。一方これらの治療標的因子のいずれもが発現しない症例(Triple Negative Breast Cancer: TNBC)では、特異的治療法がなく、TNBCに対する新たな標的因子の発見が待たれる。本研究ではアンドロゲンの作用に注目し、TNBC(n=208)におけるアンドロゲン受容体(AR)、アンドロゲン合成酵素(5αreductase type 1:5αR1;17β hydroxysteroid dehydrogenase tipe 5:17β HSD5)の発現について免疫組織化学にて評価し、その意義について統計学的に検討した。結果:5αR1陽性症例では有意にAR発現が高く、同様の傾向は17βHSD5でも確認することができた。また、癌細胞増殖のマーカーとしてKi-67の発現を同様に評価し、これら因子との関係を解析した結果、5αR1とARの発現が共に高い症例では、AR低発現5αR1高発現もしくはAR低発現5αR1低発現症例と比較して有意にKi-67の発現が低いことが明らかとなった。5αR1は癌組織局所でのアンドロゲン濃度に寄与すると考えられ、5αR1高発現症例では局所でのアンドロゲン濃度が高いと推測される。さらに、ARの発現を伴うことにより局所で合成されたホルモンはアンドロゲン作用を発揮すると考えられる。今回の結果から、アンドロゲン作用は癌細胞の増殖抑制に働くと考えられ、TNBCの新たな治療に向けた標的因子となる可能性が示唆される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、ARの免疫組織化学をTNBC208症例で行い、TNBCにおけるARの発現意義を明らかにできた。計画では300症例の予定であったが、次年度に計画していた5αR1、17βHSD5の発現までを検討する事が出来たので、「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度からさらに症例数を増やし、目標の300症例での解析を目指す。症例については東北大学病院、さらにはマヒドール大学(タイ)の症例を使用することで同意が得られている。これらの症例のうち予後が明らかな症例を用いて、アンドロゲン作用の予後におよぼす影響を検討する。また、本邦とタイの症例間での差異に関する検討へと研究の発展が見込まれる。
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Research Products
(2 results)